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必要なのは今野泰幸の“勝たせる力”。
開幕戦を3度見返した高宇洋の誓い。
posted2019/02/28 08:00
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph by
J.LEAGUE
ガンバ大阪と横浜Fマリノスがパナソニックスタジアム吹田で顔を合わせたJリーグの開幕戦。昨季の苦しい残留争いでの牽引力となり、シーズン終盤の9連勝を支えた今野泰幸に代わって、ガンバ大阪の中盤に入ったのはプロ3年目を迎えた高宇洋(こう・たかひろ)だった。
「今年はコンさん(今野)のポジションを奪いにいきたい。そのために必要になるのが、チームを勝たせたという周囲に対するインパクト」
独特の高揚感がピッチ上のみならずスタジアム全体を覆う開幕戦で、ガンバ大阪は開始早々の40秒で先制。しかし前半だけで3失点を許し、痛恨の逆転負けを喫した。
「まだまだだなというのを突きつけられた感じ。でも、ここで下を向いていても変わらない」
試合後の取材エリアで懸命に言葉を紡いだ20歳だったが、帰宅後は悔しさのあまり、眠る気にもなれなかったという。
眠れずに、試合映像を2度見直す。
習慣にしているサッカーノートに、知らず知らずのうちに「勝つ」という言葉を何度も書き込むほど入れ込んでいた開幕戦で、失点に絡むミスを犯し、後半15分にピッチを後にした。
体は疲れ切っていたにもかかわらず、高は自宅で悶々とした時間を過ごした。日付が変わろうとする頃、彼が手にしたのはテレビのリモコンだった。
「試合を見ようかどうか迷っていたけど、眠れないので見ることにした」
1回目はチーム全体の動きと試合の展開を追うマクロの視点で、そして2回目は自身のプレーを細かく振り返るミクロの視点で、試合をチェックした。
直接的に失点に関わったのは、自陣深くで天野純にあっさり突破を許し、さらにクリアミスを三好康児にねじ込まれた2点目だったが、1点目と3点目も高があっさりと縦パスを許したことが遠因になっていた。