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鍵は医師・古島弘三氏の存在!
高野連の球数制限、次なる展開。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/02/27 17:00
約600件のトミー・ジョン手術を施してきた古島弘三医師。ヤクルト・館山昌平の奇跡のカムバックも先生の治療例のひとつである。
勝ち負けの論理より圧倒的に大事なこと。
その一方で有識者会議で、メンバーによっては、またぞろ出てきそうなのが、球数制限が勝敗への有利不利に影響する、という勝ち負けの論理だ。
極論すれば球数を制限すると勝つために待球作戦やファウルで粘ったりして、ルールを逆手にとるようなチームが出てくる危惧を語る指導者もいるかもしれない。
ただ、果たして選手の将来を守ることと、目先の勝ち負けとどちらが大切なのか?
そこで思い出して欲しいのは、高校野球の根本にあるのは「スポーツマン精神に則り、正々堂々と戦うことを誓う」ということだ。
このスポーツマン精神に鑑みれば、勝つためにルールの穴を突くようなプレーは無くなるはずである。スポーツマンシップを徹底することが、球数制限というルールや選手の保護を支える大きな柱となる。
このスポーツマン精神が高校野球の指導においては、ルールを越えた大切な価値とならなければならないのである。
まずは怪我をしないこと。勝利はその後。
「(高校野球に)人生を賭ける、肩が壊れてもいい、という人もいる。それは個人の自由かもしれないが、世間がそういう空気、流れを作っているかもしれない。若い人にはその後の進路など色々な可能性がある。自分の可能性を低く見積もらないでほしい」
こう語った鈴木長官は、学校スポーツのあるべき姿をこう語っている。
「怪我をしないことが大事であり、生徒を守る学校の姿勢が共感を呼び、受け入れられるようになってほしい」
勝つことは、その後についてくるはずのものである。
そうして自然と“夢”や“感動”“感謝”も生まれるはずのものなのである。