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鍵は医師・古島弘三氏の存在!
高野連の球数制限、次なる展開。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/02/27 17:00
約600件のトミー・ジョン手術を施してきた古島弘三医師。ヤクルト・館山昌平の奇跡のカムバックも先生の治療例のひとつである。
「半歩、一歩前進したという気がする」
昨年に新潟県高野連が決めた春季県大会での球数制限に対して2月20日、日本高野連は再考を求めることを決定。この通達を受けた新潟県高野連は同26日に「3月末までに審議、回答し、県内の加盟校に通知する」ことを発表した。
今回の経緯に「半歩、一歩前進したという気がする」と語ったのは、かねてから新潟の取り組みへの支持を表明していた鈴木大地スポーツ庁長官だった。
鈴木長官が評価したように、確かに今回の新潟の問題提起は高校野球にとって、大きな一歩をしるすものとなったはずである。
大きな理由は2点だ。
「猶予を考えていただけないか、と」
1つ目は、日本高野連が導入には「多角的に検討の必要がある」としながら、球数制限の必要性を公式に認めたこと。
「認めないという決定ではない。猶予を考えていただけないか、ということだ」
日本高野連・竹中雅彦事務局長は2月20日の理事会後に決定の背景をこう説明した。
今回の再考の申し入れの理由は、「(1)部員数が20人以下の加盟校が全体の約4分の1を占め、部員の少ないチームが不利になること」、「(2)勝敗に影響を及ぼす規定は全国で足並みを揃えて検討すべきこと」という2点だった。
その上で球数制限に対しては「未来の高校野球発展には避けて通れない課題」(竹中事務局長)と語り、その必要性を公式に認めている。
要は、球数制限の是非や、するかしないかではないというところに踏み込んでいるのである。
こうなると問題はそれをどういう内容で、どうスムースに、効果的に導入できるのかということになるはずなのである。