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鍵は医師・古島弘三氏の存在!
高野連の球数制限、次なる展開。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/02/27 17:00
約600件のトミー・ジョン手術を施してきた古島弘三医師。ヤクルト・館山昌平の奇跡のカムバックも先生の治療例のひとつである。
4月には有識者会議が発足予定!
そうして2つ目の成果は、そのために専門家を交えた「投手の障害予防に関する有識者会議」を発足させ、問題を多角的に検討していく方針も明らかにしたことだ。
会議には新潟県高野連にも参加を依頼しているほか、スポーツ医学に精通する医師や弁護士、高校野球の指導経験者やプロ野球経験者など多方面からメンバーを選んで4月に発足。1年をめどに球数制限に限らず練習、公式戦のあり方などを含めて広く討議していく方針だとしている。
この有識者会議の設置目的は、まずどうやって選手を投げ過ぎなどによる障害から、肉体的に守っていくかということになる。
だとすれば医学的にどういう制限が必要なのかをしっかりとしたデータを元に分析できる有識者が入るかどうかが重要だ。
キーパーソンは古島弘三医師。
そういう意味ではトミー・ジョン手術の権威で、プロだけでなく少年野球から高校野球、大学、社会人野球などのスポーツ障害に広く精通している慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師がメンバーに入るか、入らないかが1つの試金石となりそうである。
同医師はこれまでも過度の投げ込みや日本の古い指導方法に対して警鐘を鳴らし、成長期の投げ過ぎに対して幾度となく問題提起をして活動してきた。ある意味、バリバリの“球数制限派”でもある。野球の現場にも数多く足を運び、子供の肘や肩の障害に対するデータも多く持っている。何よりこうした障害の治療経験という点では国内有数の実績がある。
この“制限派”の権威をメンバーに入れられるかどうか――。
そこにこの有識者会議の基本姿勢が明確に表れるとも言えるだろう。
逆に言えば古島医師がメンバーに加わった時点で、日本高野連が本気で球数制限に取り組む姿勢を示したと見て取れることになる。それぐらいにポイントとなる人選で、読者は注意深く見守って欲しい。