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<連続インタビュー>
田中マルクス闘莉王「大一番は癖になる」
text by

馬場康平Kohei Baba
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/08/27 17:00

今もピッチに立つレジェンドたち。百戦錬磨の彼らが重圧に震えた一戦とは? そしてプレッシャーをいかに克服したか。彼らが語った豊富な経験の中には、日本代表が、絶対に負けられない戦いを制するための最後のピースが詰まっていた。
震えた一戦。~レジェンドが語る重圧の乗り越え方~
2008.9.6 日本 3-2 バーレーン
'10南アフリカW杯アジア最終予選@マナマ
◇
真っ赤に燃える闘志に、薪をくべ続けてきた。「必ず見返してみせる。自分の価値を絶対に示す」と。田中マルクス闘莉王は、その一念で日の丸を背負い続けた。
その闘う男は激闘譜を紐解く中で、「最も印象的」という一試合に南アフリカW杯アジア最終予選初戦の敵地・バーレーン戦を挙げた。
2008年9月6日、試合はバーレーンナショナルスタジアムで現地時間の21時半に始まった。陽はずいぶんと前に落ちたはずなのに、試合開始前から全身の毛穴から湧き出るような汗が止まらなかった。
「あの試合で、8kg弱体重が落ちた。試合が終わった後はフラフラして気持ち悪かったし、吐き気がした」
その過酷な環境下で、日本は死闘を演じた。中村俊輔の直接FKと、遠藤保仁のPKで、幸先良く2点のリードを奪って試合を折り返した。45分間だけで目一杯水分を絞り取られ、ロッカールームへと引き上げた。だが、室内は空調が止まったままのように蒸し暑く、「幾ら水を飲んでも追いつかない。非常にタフな試合だった。それは想像以上のものだった」。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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