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<最強牝馬は今>
ウオッカ「夢のつづきは」 

text by

江面弘也

江面弘也Koya Ezura

PROFILE

photograph byMasumi Seki

posted2015/10/30 06:00

<最強牝馬は今>ウオッカ「夢のつづきは」<Number Web> photograph by Masumi Seki

アイルランドのアガ・カーンスタッド、シーザスターズとの間に産まれた牡の第一子と。

牝馬として64年ぶりにダービーを制し、計GI・7勝。歴史的名牝は今アイルランドで繁殖生活を送っている。海外GI制覇という母の悲願を仔へと託して。

 ウオッカが引退して5年が過ぎた。

 わたしたちが最後にウオッカの姿を見たのは2009年のジャパンカップである。オウケンブルースリの追い込みをハナ差凌いで勝ったあのレースでウオッカは鼻出血をする。ルールで1カ月間の出走停止となり、国内のラストランに予定していた有馬記念に出られなくなった。

 そしてほんとうの引退レースとすべきドバイワールドカップをめざしてUAEドバイに行ったが、前哨戦のGII(8着)でふたたび鼻出血、引退が決まったのだった。


 ウオッカは日本に戻らず、母となるためにアイルランドに渡った。

 10月はじめ、ウオッカの馬主、谷水雄三をたずねた。ゴルフ場の経営を本業とする谷水は、オーナーブリーダー(生産者を兼ねる馬主)として北海道新ひだか町でカントリー牧場を営んでいたが、ウオッカがアイルランドに渡って2年後に牧場の閉鎖を決めている。生産馬の成績が落ち込んだわけでもなく、経済的に苦しくなったわけでもない。突然の閉鎖だった。

「牧場をやめるのはウオッカがアイルランドに渡ったあたりからちょっと考えはじめました。ぼくは牧場経営のサイクルを10年と考えてまして、年齢を考えるとむずかしいなと思ったのと、最盛期でやめるのもひとつの美学かなと思いましてね」

この記事は雑誌『Number』の掲載記事です。
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