ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
ロイス離脱のドルトムントが怪しい。
僅差の2位に、気づけばバイエルン。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byUniphoto Press
posted2019/02/23 11:00
獅子奮迅の活躍を見せていたロイスがまたしても負傷。ドルトムントはこのヤマ場を乗り切れるか。
コバチ監督が見出した最適解。
ちなみに、ハマン氏は現役時代にイングランド・プレミアリーグのリバプールでも長くプレーした経験があるため、UEFAチャンピオンズリーグのベスト16で激突するリバプール戦でのレバンドフスキの奮起を促してもいます。
「彼にクオリティがあり、クラブに大きく貢献できる選手だというのは誰もが認める事実だ。一方、彼の真の試金石はリバプール戦だ。彼が守備陣を脅かし、長年見せてきた傑出した能力を披露してくれることを望んでいるよ」
ただ、このような騒動が勃発するなかでも、チームを束ねるコバチ監督は着々とチーム状況の改善に着手していました。そしてどうやら、その最善策をついに見出したようなのです。
コバチ監督は昨季フランクフルトを率いていたときには3バックを採用し、リベロに長谷部誠を据えてDFBポカールを制するなどの実績を残してきました。しかし今季バイエルンの指揮官に就任してからの彼は、4バックを基本システムに据えています。
ベテランの取り扱い方と人選。
ただ、今のバイエルンには各国の優秀な代表選手たちや、これまでのリーガ連覇に大貢献してきた選手たちが数多く在籍しているため、その人選に苦慮したはずです。
特にベテランのFWアリエン・ロッベン、FWフランク・リベリーの処遇や昨季までの主力だったMFトーマス・ミュラー、MFハメス・ロドリゲス、DFジェローム・ボアテンク、GKマヌエル・ノイアーの起用法は難儀だったと思われ、前半戦はチーム内に不穏な空気が流れていたとも報道されていました。
元々コバチ監督は“俺が総大将”的な振る舞いを貫くタイプの指揮官で、フランクフルト時代はチームに厳しい規律を求めていました。決められたエリアでの携帯電話禁止や毎日の血液採取による健康状態のチェックなどは最たる例で、それが実績あるバイエルンの選手にとってストレスになった可能性もあります。
でもプロの世界は結果がすべて編集で、事態が好転すればチーム内の不満も沈静化していくものです。そして何より、どんな選手を起用しようとも、それで結果を残せば指揮官の信用度は上がり、選手たちもそれぞれが切磋琢磨して健全なチーム内競争に打ち込むことでしょう。