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年俸高騰でメジャーのFAが危機?
補強をへらす球団、高値を煽る選手。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/02/09 09:00
ハーパーはいずれ巨大契約を手にするだろうが、その次のランクの選手たちにとっては難しいオフが続く。
年俸と成績が比例していない?
ただし、クラーク氏の言うことが突っ込みどころ満載だったのは、昨シーズンが終わった時点で明らかになった。
選手の年俸総額のトップ10(2018年開幕時)の内、5球団がプレーオフ進出を逃した=金を使っても、勝つとは限らない。
選手の年俸総額ワースト10の内、2球団がプレーオフに進出した=金を使わなくても、勝つことはできる。
2018年、メジャーリーグ全体の観客動員数は確かに減った。
2017年の7267万8797人(1試合平均2万9908人)から、2018年は6967万1272人(同2万8660人)に減った。約300万人もの減だ。
ただし、アスレチックスやブルワーズといった前出の選手年俸総額総額ワースト10に入っている球団は、プレーオフに進出して観客動員数を増加させた。
それはプレーオフ争いで健闘したフィリーズも同様で「チームが強ければ客は入る」ことが証明された(中にはパドレスのように成績不振でも営業努力が実って観客動員数を増やした球団さえある)。
球団側は選手側の要求額を批判。
だから当然、クラーク氏が批判した球団側の長、ロブ・マンフレッド・コミッショナーは真っ向から反論した。
「この時期になってもFA選手が市場に多くいるのは例年と同じです。いつもと違うのは、トップのFA選手たちが9桁(1億ドル超えの意味)に届くかなりのオファーを受けながらサインしていないということ。新しい労使協定の影響や、進んだ分析(≒選手査定)、守備位置の需要などで変動するFA市場において、クライアント(選手)の価値づけを正確に行うのが代理人の責任です。何人かの代理人が市場を正確に評価し損ねた責任を球団に押し付けるのは不公平であり、不当であり、不要な挑発です」