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年俸高騰でメジャーのFAが危機?
補強をへらす球団、高値を煽る選手。
 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2019/02/09 09:00

年俸高騰でメジャーのFAが危機?補強をへらす球団、高値を煽る選手。<Number Web> photograph by AFLO

ハーパーはいずれ巨大契約を手にするだろうが、その次のランクの選手たちにとっては難しいオフが続く。

A・ロッドやプホルスの高額契約は成功したか?

 いつだったか「スーパーエージェント」と呼ばれているスコット・ボラス氏が「金額を決めるのは我々ではなく、球団の方です」というようなことを言っていたが、ハーパーやマチャドの契約が決まらないのはまさに、「トップのFA選手たちが9桁(1億ドル超えの意味)に届くかなりのオファーを受けながらサインしていない」からではないか。

 たとえば2000年のオフ、シアトル・マリナーズからFAになった「A・ロッド」ことアレックス・ロドリゲス(現TVコメンテイター)は、子供の頃からの憧れの球団、メッツとの合意目前になって、メッツを上回る高額契約をオファーしたレンジャーズと当時のメジャー最高となる10年2億5200万ドルで契約した。

 今は大谷翔平のチームメイトとして知られるエンゼルスのアルバート・プホルス(元カージナルス)や、今オフ、メッツに移籍したロビンソン・カノが古巣ヤンキースからFAになってマリナーズと高額契約した時も、同じだ。

 彼らは「リスペクトがなかった」と古巣からの再契約オファーへの不満をこぼしながら、市場の原理に則って「より高額な契約」をした。

 だが、彼らは移籍したチームであまり幸せな時間を過ごせなかった。やがてレンジャーズはA・ロッドをヤンキースへ放出し、マリナーズは今オフ、カノをメッツへ放出した。そして、プホルスはエンゼルスで大谷と指名打者の座を分け合わなければならない立場になっている。

FAから育成・分析に資金の投入先が変わった。

 MLBネットワークでコメンテイターのジョエル・シャーマンが過日、面白いことを言っていた。

「昔のGMはチームが勝てないことが理由でクビになっていましたが、近頃はそれに加えて、無駄にお金を使うことでもクビになるのです」

 だから、新進気鋭の編成トップたちは「他球団を出し抜いてFA選手を獲得する」資金を、ファーム組織と育成部門の強化、戦術と分析部門に投入するようになったのだ。FAの有力選手はあくまでの「最後の1ピース」。生え抜き選手が育った後で足りない部分を埋めるためだ。

【次ページ】 スーパースターは決まるが、その下は……。

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