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原巨人の知られざる的確な補強。
メジャーで学んだ敏腕の履歴書。
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byKyodo News
posted2019/02/12 07:00
炭谷銀仁朗、丸佳浩をFAで獲得した一方、人的補償で内海哲也、長野久義が移籍。原監督はその裏で、着実にチーム作りを進めていた。
長期的なスパンがあるのでは。
「アントニーにはこの先ずっと、私の任期の間だけではなく、末長く球団をサポートしてもらいたいと考えている」と原氏。
実績のある監督からの推薦を受けたことで、周囲から嫉視の的となる懸念もある。しかし、強靭な目的意識に貫かれたアントニーであれば、日本の社会の同調圧力も巧みに微調節して「出る杭」には決してなるまい。
原氏は就任後のFA戦略で批判の矢面に立ち、ある報道では「近年目指してきた先進的な組織作りがムダになっている」とされ、GM制の廃止は「全権独裁だ」とまでの指弾を浴びている。
しかし、アントニーへの「末長く留まってもらいたい」との言葉から見えてくるように、原監督が描いているのは急進的な「改革や転換」というよりも、長期的な「持続と発展」なのではないか。
2月7日、宮崎のキャンプ地にいるアントニーからメールが届いた。
「日本のキャンプは練習時間が長くて大変です。いろんな部分でシステムが違う米国流をそのまま当てはめてもだめだと実感。ファームも見て、しっかりと観察していきます!」
確かなのは巨人にとってアントニーの招聘が、将来を見据えた組織作りの一端を示しているということだ。