サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
南野拓実は代表で「戦える選手」だ。
ゴールとアシスト以上に示した価値。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/07 17:00
1ゴールにとどまったが、南野拓実はアジア杯でハードワーカーとしての一面も見せた。
覚悟がないとやっていけない。
それでも、彼の中に迷いはなかった。グループリーグ第2戦のオマーン戦、チーム最多4本のシュートを打ちながら無得点に終わった。
「外したシュートはありますけど、気持ち的には何の問題もないですし、ゴールが入るまで打ってやろうと思うだけなので」
ゴールを決めてチームを助けたい。南野の覚悟だった。
決勝トーナメントに入ってからゴールへの意識を問われても、こう答えていた。
「覚悟がないとやっていけないし、世界的にも点を多く獲っている選手はそういう考え方を持っています。そうじゃないと相手も怖くはないと思うし。エゴイストになるわけじゃないけど、強い気持ちを持ってプレーしたいなと、いつも思っています」
それがようやく形となったのが決勝戦だった。もちろん、彼がこだわるのはゴールなどの決定的な働きをしてチームを勝たせること。だから満足できないのも当然かもしれない。
数字だけでは評価できない働き。
ゴール以外の面に目を向けると、南野のアシストはチーム1位、参加全選手中でも3位となる3つを記録している。またFKの獲得数もチームトップとなる12回を数えた。
それもあってか、南野はアジア杯をこう総括した。
「個人的に苦しんでいたわけではないです。チームが勝つことが一番ですし、それに対して貢献しているという自負はあったので。でも、ゴールで貢献したいという気持ちはあったし、そのチャンスはうかがっていました。そういう意味で、悔しい大会ではありました」
さらに、数字に現れない動きも見逃せない。
準決勝のイラン戦では、相手マーカーと交錯したあと、イランの選手たちが一斉にファールではないと主審にアピールするのを横目に転がったボールを拾い上げ、大迫勇也のゴールをアシストした。原口元気も、冨安健洋も、監督が求めているものを体現するプレーだと絶賛した。
それだけではない。イラン戦終盤に柴崎岳が相手に小突かれると、真っ先にイランの選手に向かっていった。仲間とともに戦う覚悟があるからこそ、当然の行動だった。