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ここ10年、年度代表馬の半分が牝馬。
アーモンドアイたちはなぜ現れたか。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2019/02/09 10:00

ここ10年、年度代表馬の半分が牝馬。アーモンドアイたちはなぜ現れたか。<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

まぎれもなく「現役最強馬」であるアーモンドアイ。凱旋門賞でエネイブルとの対決が実現したら……。

トレヴやエネイブルなど世界でも牝馬が強い。

 大舞台で強い牝馬の活躍が目立つようになったのは日本だけの傾向ではない。

 フランスの凱旋門賞では過去10年で牝馬が7勝もしている。それも、あのオルフェーヴルでさえ完敗したトレヴや、2017年にイギリスのキングジョージVI&クイーンエリザベスステークスを4馬身半差、凱旋門賞を2馬身半差で圧勝し、昨年凱旋門賞連覇を果たしたエネイブルのように、「化け物」と言うべき強さの牝馬が活躍している。

 オーストラリアではウインクスが昨年10月27日のコックスプレートで史上初の4連覇を達成し、自身の連勝記録を「29」、GI最多勝記録を「22」に伸ばした。これもまた牝馬の「化け物」である。

2000年代後半は世界的に牝馬の時代。

 このように、サラブレッドの世界では、不思議なくらいの「共時性」が見られることがままある。

 ウオッカがライバルのダイワスカーレットと激しくぶつかり合ったのは、2007年と2008年だった。

 アメリカでは、これら2頭と同い年の牝馬ゼニヤッタがデビューから無敗で2008年のブリーダーズカップレディースクラシックを制し、翌年にはブリーダーズカップクラシックを牝馬として初制覇。2010年のレディースシークレットステークスまで無傷の19連勝を遂げ、次走のブリーダーズカップクラシックで頭差の2着に敗れ、引退した。

 その2歳下の牝馬レイチェルアレクサンドラが、2009年、ケンタッキーオークスをチャーチルダウンズ競馬場史上最大の20馬身1/4差をつけて圧勝し、次走、牡馬も出るクラシック三冠の第2弾、プリークネスステークスも優勝。その後も勝ちつづけ、古馬との初対決となったウッドワードステークスまでGI5連勝を遂げた。

 このレイチェルアレクサンドラはダート、ゼニヤッタはオールウェザー馬場を主戦場としていたこともあり、2頭の直接対決は実現しなかったが、2000年代後半の主役は、日米ともに牝馬だった。

【次ページ】 アーモンドアイとエネイブルの対決は?

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