沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ここ10年、年度代表馬の半分が牝馬。
アーモンドアイたちはなぜ現れたか。
posted2019/02/09 10:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
2018年アーモンドアイ
2014年ジェンティルドンナ
2012年ジェンティルドンナ
2010年ブエナビスタ
2009年ウオッカ
これは、過去10年でJRA賞年度代表馬に選出された牝馬たちである。4頭で半数の5回も受賞している。ちなみに、その前の2008年もウオッカが年度代表馬となっている。
それより前に年度代表馬となった牝馬は、1997年のエアグルーヴと、1971年のトウメイの2頭だけ(年度代表馬の表彰が始まったのは1954年)。
もちろん、昔も強い牝馬はいた。1943年にダービー、オークス、菊花賞の「変則三冠」を制し、翌年11戦11勝で引退したクリフジが好例だ。
また、1996年の最優秀短距離馬フラワーパーク、2008年のスリープレスナイト、2011年のカレンチャンのように、1200mなどの短距離では、牡馬相手にGIを勝つ牝馬はときどき現れた。
しかし、「チャンピオンディスタンス」と呼ばれる2400mで、牡馬の一線級を圧倒する牝馬がこれほど次々と現れるようになったのは、160年近い日本の近代競馬史において初めてと言っていい。
なぜ、牝馬がここまで強くなったのか。強い牝馬が続出する背景には何があるのか。
4頭中、3頭が同じ牧場の生産馬。
まず、これを言ってしまっては身も蓋もないが、冒頭に記した牝馬の年度代表馬4頭の「またそこかよ」と苦笑されそうな共通点にお気づきの方は多いだろう。
そう、ウオッカ以外の3頭は、ノーザンファームの生産馬なのである。
ノーザンファームは2011年から8年連続リーディングブリーダーとなっており、昨年の獲得賞金は162億1150万1000円、勝利数は662。2位社台ファームの63億4538万8000円、311勝のダブルスコア以上という突出ぶりだ。