福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が悔やむカタール戦敗因。
ただ大迫&武藤の縦関係は機能した。
posted2019/02/02 14:30
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
Takuya Sugiyama
難しい相手と見ていたカタールに、見事な試合の進め方をされてやられてしまいました。日本も後半に入ってから修正してあと一歩まで迫りましたが、悔やまれるのはやはり前半の展開です。
日本は試合の入り方こそ前に出るぞ、という姿勢を見せていました。しかし前半12分のアルモエズ・アリのオーバーヘッドキックで先制ゴールを許したところから、明らかにリズムが崩れてしまいました。
アリのオーバーヘッドキックはゴールから背中を向けた状態で、なおかつ権田の手前でバウンドしてゴール右隅へと飛んでいった。このシュートに関しては相手を褒めるしかないスーパーゴールでしたが、良くなかったのはその後の時間帯でした。
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早い時間帯で失点したことによって、チーム全体が浮足立つとともに積極性と一貫性が失われました。最終ラインの選手としては「立て続けに失点したくない」、一方で前線の選手は「得点を奪いにいかないと」と考え方に迷いが出たことでコンパクトさが失われ、それに気づいたカタールがやりたい放題の状況となってしまいました。
2点目は防がなければいけない。
流れを失った時間帯についてはカタールの2点目が象徴的ですし、防がなければいけないものでした。
アブデルアジズ・ハティムのミドルシュート自体は致し方ない面もありますが、そこに至るまでの守備の連係が良くありませんでした。ハティムにパスを送ったアクラム・アフィフがボールを持った時点で、日本は人数こそ足りている状況でした。だけどハティムに対して誰も寄せず、プレー方向を制限するような動きもなかった。
それによって吉田が一瞬引き出され、ハティムへの対応も後手に回ってしまいました。あれだけ自由を与えてしまうと、相手も自分の思い通りのプレーができてしまう。最終的にこの失点が重くのしかかってしまいました。
準決勝のイラン戦は落ち着いて戦うことができましたが、カタール相手には明らかに心の隙間を突かれてしまった。選手たちは決勝という大舞台でメンタルを保つことの難しさを痛感したと思います。