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「東京マラソンでサブスリー」への道。
RUNの“棚卸し”をしてみる。 

text by

柳橋閑

柳橋閑Kan Yanagibashi

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photograph byTokyo Marathon Foundation

posted2019/02/01 16:30

「東京マラソンでサブスリー」への道。RUNの“棚卸し”をしてみる。<Number Web> photograph by Tokyo Marathon Foundation

東京マラソンの公式会員組織であるONE TOKYOの「スピードプロジェクト」に参加した皆さん。柳橋選手はどこに写っているでしょうか?

「VDOT」をいかに活用するか?

 そうした「持久係数」の中でも最もオーソドックスなのが、アメリカ人の陸上コーチ、ジャック・ダニエルズ博士が提唱している「VDOT」(ブイ・ドット)だろう。表を一部抜粋すると以下のようになる。

※タイムは左から、3000m、5000m、10000m、ハーフ、フル

VDOT:50
11:33 19:57 41:21 1:31:35 3:10:49

VDOT:51
11:21 19:36 40:39 1:30:02 3:07:39

VDOT:52
11:09 19:17 39:59 1:28:31 3:04:36

VDOT:53
10:58 18:58 39:20 1:27:04 3:01:39

VDOT:54
10:47 18:40 38:42 1:25:40 2:58:47

 ちょっとややこしいのだが、VDOTの数字はVO2maxそのものを表すわけではない。VDOTは、ダニエルズ博士たちが長年にわたって数多くのランナーをテストし、VO2maxにランニングエコノミーやレース持続時間などの要素を組み合わせて算出した指標なのだ。「走力のレベル」と考えると分かりやすいかもしれない。たとえば、このサイト(http://runsmartproject.com/calculator/)でVDOTを計算できる。

 僕の場合、直近1年間のベストタイムが5000mで19分52秒、ハーフで1時間29分00秒、フルは3時間10分24秒(ネットタイム)なので、VDOTは50.2~51.6の間ということになる(前出の表を参照してみて下さい)。

 サブスリーに必要なVDOTは54だから、数字で見るかぎり「不可能! 以上終了!」となってしまうのだが、ここで諦めるわけにはいかない。大事なのは、この指標をもとにどういう戦略を立てるかだ。

ランニングエコノミーを極めよう!

 本来であれば、5000mや10000mのスピードを充分に高めた上で、フルは余裕のあるペースで走る──というのがマラソンのセオリーだ。しかし、スピードという資源を持っていない以上、その戦略をとるのは難しい。

 では、どうするか?

 一縷の望みがあるとしたら、僕の場合、スピード型と持久型でいえば、持久型のランナーにあたるということだろう。トップスピードは悲しいほどないが、ジョグのペースならいくらでも走ることができる。実際、フルマラソンでのサブスリーはどうしてもできなかったが、100kmウルトラマラソンではサブテン(10時間切り)を達成している。

 まずは、できるかぎり心肺機能を強化して、5000m~ハーフのVDOTを何とか52のレベルには持っていきたい。

 フルの場合、それではスピードの余裕度が足りず、前半をサブスリーペースで走っても、後半失速する可能性が高い。しかし、そこで持久力を活かして後半も何とかイーブンペースを維持する──というのが、スピードを持たざる者としてのぎりぎりの戦略になるだろうか。

 その戦略をとるにはランニングエコノミー=走りの効率性を高めることが重要になる。そのためにはフォームの改善もさることながら、体重管理が必須だ。放っておくとすぐに太るおじさんランナーにとっては、これまた茨の道である。

 そのあたりも含めて、次回も「RUNの棚卸し」をもう少し続けたいと思う。

(「東京マラソンでサブスリーへの道」はNumberWebでの連載後、雑誌「NumberDo」2019年3月22日発売号の誌面にて結果を報告します)

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柳橋閑

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