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こんまり流お片づけで五輪連覇。
陸上競技・最強夫婦を支えた断捨離。
posted2019/01/29 07:30
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images
「こんまり」こと近藤麻理恵さんのお片づけ術が全米で大人気だ。
書籍はもちろんのこと、Netflixでの番組も好評で、片づけられないアメリカ人たちからクイーン(女王)、また片づけの神様と呼ばれるほどだ。
筆者が「こんまり」の著書『人生がときめく片づけの魔法』を知ったのは、3年前の2016年2月だった。
リオで夫婦一緒に金メダル計画。
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「自分たちはこの本で生き方も考え方も変わった。ぜひ読んでほしい」と彼女の本を強く勧めてきたのは、世界最強の鉄人夫婦こと、十種競技でロンドン五輪金メダル、当時世界記録保持者だったアシュトン・イートンと、妻で七種競技のブリーアン・タイセン・イートンだった。
彼らが『こんまり』の本を読んでお片づけをしたのは、家が不用品で溢れていたから、ではない。
夫アシュトンは2015年の北京世界陸上で自身の持つ世界記録を更新して世界陸上連覇を果たしたが、同じく金メダルを狙ったブリーアンは銀メダルに終わっていた。ブリーアンはメンタル面の弱さを露呈し、半ば自滅のような戦いぶり。試合後に号泣していた姿を鮮明に覚えている。
リオ五輪を翌年に控え、彼らは「リオ五輪で夫婦で金メダル」の目標を達成するために、どれだけ競技に集中できる環境を作るか、どうしたら不動のメンタルを作れるか、専門家の意見を取り入れながら模索していた。そこで出会ったのが「こんまり」の本だった。
夫婦で金メダルという目標に向けて必要なのは、自分たちが好きなもの、心地よいもの、そして必要なものだけに囲まれて暮らす生活、それを実現すれば競技にも集中できる、とイートン夫妻はそう考えた。