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「東京マラソンでサブスリー」への道。
RUNの“棚卸し”をしてみる。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byTokyo Marathon Foundation
posted2019/02/01 16:30
東京マラソンの公式会員組織であるONE TOKYOの「スピードプロジェクト」に参加した皆さん。柳橋選手はどこに写っているでしょうか?
「ONE TOKYOスピードプロジェクト」
そんなことを考えつつ、湘南国際の翌週、12月8日に行われた「ONE TOKYOスピードプロジェクト」という練習会に参加した。
ONE TOKYOというのは東京マラソンの公式会員組織で、市民ランナー向けにさまざまなイベント、クリニックを開催している。中でも「スピードプロジェクト」は自己ベスト更新をめざすシリアスランナーに向けたプログラムで、この日のメニューは21kmのペース走だった。
僕は目標タイム3時間のランナー向けのキロ4分20秒ペースの組に入ってみた。実業団のコモディイイダの黒田雄紀選手と東瑞基選手がペースメーカーを務めてくれたのだが、さすがはエリートランナー。驚くほど正確なストライドとピッチを刻み続けていた。
走っている最中、黒田選手が「足は“置くだけ”のイメージで」「上半身をリラックスさせて」と定期的に声をかけてくれる。「なるほど」と思いながら、彼らのリズムに同期するようにしてついていったところ、苦しいには苦しいのだが、動き的には最後まで安定して走ることができた。
ひとりではとてもこういうふうには走れない。集団走で、とくに優れたペースメーカーがいると、練習の質が一枚も二枚も上がるんだなと実感する。
結果的にタイムは1時間31分07秒、ストライドとピッチの平均は1.24m×185spmだった。本番ではこれよりストライドを3~4cm伸ばし、ペースをキロ5秒上げる必要がある。しかも、その状態で2倍の距離を走らなければいけないわけで、いまのところその自信はまったくない。
心肺能力を考えたいのだが……。
もうひとつ、マラソンのタイムを考える上で決定的な要素となるのが心肺能力だ。
心肺能力を表す指標にVO2max(運動中、呼吸によって体内に取り入れることができる酸素の最大容量)というものがある。その数値が1分間に体重1kgあたりで60mlを超えるとサブスリーレベル、70mlを超えるとトップ選手といわれ、中には80mlを超える怪物のような選手もいるという。
VO2maxを正確に計るには、専門の施設でマスクと心拍計をつけて、トレッドミルの上で走る必要があり、僕もまだそれは試したことがない。ただ、スポーツ科学が進んだおかげで、いまや5kmや10kmのタイムからVO2maxを推測したり、マラソンのタイムも予測できるようになった(ウェブで検索すると、いろんな計算ツールが出てきます)。