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まさに「国民の息子」。根尾昂が
メディアもファンも惹きつける理由。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2019/01/31 10:30

まさに「国民の息子」。根尾昂がメディアもファンも惹きつける理由。<Number Web> photograph by Kyodo News

根尾昂はキャンプ地である沖縄に入ってからの合同自主トレ中も、多くの報道陣やファンに囲まれている。

全国の野球好きから愛される。

 しかし、根尾本人の強い意志は大阪桐蔭に向けられる。つまり、保険としての医師への道は捨て、甲子園で活躍し、プロへ行く。もちろん学業にも力を入れるのだが、目指すべき職業は一本に絞った。

 岐阜県飛騨市から全国の精鋭が集う強豪へ。以前にも書いたが、筆者は野球留学には2種類あると考えている。地方から都会へ進むパターンと都会から地方へと進むパターンだ。当事者にそんな思惑はないにせよ、結果的に地方活性化につながるし、勧誘する側の地方私学には都会以上に少子化への危機感が強い。

 重要な生き残り戦略なのだが、世間一般は明らかに前者を好む。そこには「高い志を抱いて、あえて甲子園への戦いも厳しい中央に挑む」というイメージがあるからだ。もちろん根尾は前者の典型である。

 文武両道の上にスキーでも全国制覇したスーパーボーイ、地方から都会へ、安心と安定の受け答え……。小さなころから「我が子」「我が孫」として成長を見守ってきた東海地方のファンだけでなく、全国の老若男女、野球好きから愛される要素が根尾には詰まっている。くわえて面相。いわゆるイケメンなら他にもいるが、印象的な眉は意思の強さを感じさせる。

肉離れしても、焦りは禁物。

 覚えやすい「ネオアキラ」というフルネームもヒーローに求められる条件だ。主将でも4番でもエースでもないが、大阪桐蔭カルテットの中でも根尾の知名度と注目度が断トツな理由は、こんなところにありそうだ。

 その根尾は名古屋での自主トレ中に右ふくらはぎを肉離れし、一軍スタートが決まっていた春季キャンプも二軍になった。まさかのつまずきではあるが、与田剛監督ならずとも「焦りは禁物」と思っていることだろう。長いプロ野球人生は、実のところまだ始まってもいない。

 1年目の開幕を一軍で迎えるかどうかなど、ちっぽけなことではないか。今や根尾には日本中にお父さんやお母さん、おじいちゃんもおばあちゃんもいる。自慢の息子であり、孫の成長を見守っているのだ。

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