福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史もおかんむりの初戦辛勝。
「集中力の欠如は今後許されない」
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph byAFLO
posted2019/01/10 17:00
この日は失点シーン以外でも危うい場面が散見した。アジアカップという大会の中で改善と成長を図りたい。
相手の心が折れかけたのに。
試合の流れや時間帯など考えても、明らかにもったいない失点でした。
後半に入ってから3-1とするところまで、日本は立ち直っていました。前半は縦パスを警戒されてボールを奪われ、カウンターを浴びる場面がありました。しかし後半は原口が左サイドで幅を取り、高い位置でのサイドチェンジで相手を揺さぶる場面が増えました。
相手の対策を上回る柔軟性ある戦いを前半のうちにできれば理想的でしたが、そこは評価できる部分です。
そうやってリズムをつかんだ日本は、大迫の2得点と堂安のゴールで2点差とした。それに加えてトルクメニスタンの選手は暑さもあって明らかに足が止まったし、立て続けのゴールで気持ちが折れかけていました。
もう1点取りにいって試合を決定づけるのか、それともボールを回して相手の戦意を完全に喪失させるのか。そういった段階でした。しかしあの2失点目によって、ガッカリしていたはずのトルクメニスタンに勇気を与える形になってしまった。
これでは相手を助けているようなものだし、自らチャンスを相手に与えてはいけませんよね。
集中力の欠如は許されない。
もし2点差のままなら、終盤も余裕をもって対応できたはず。でも1点差ということで、トルクメニスタンがタイムアップ寸前まで押し込んできて“もしかしたら追いつかれてしまうんじゃないか”という状況になってしまった。
繰り返しになりますが、トルクメニスタン戦で一番の問題は「集中力の欠如」。優勝を目指していくためには今後絶対に許されないものです。
これまでもアジアカップでは、グループステージ初戦で苦しんできた歴史があります。8年前(2011年)優勝した時も、初戦のヨルダン戦は終了間際の吉田のゴールでドローに持ち込みました。自分がプレーした'04年のオマーン戦もシュン(中村俊輔)のゴールでの1-0と、何とか勝ちを拾った形です。それを考えれば、今回も良くない展開ながら勝ち点3を得られたことは大きかった。そういう意味ではポジティブと言えるでしょう。