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日本プロテニスに「選手会」発足。
“家庭を持つ30代”としての行動。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2019/01/02 10:00

日本プロテニスに「選手会」発足。“家庭を持つ30代”としての行動。<Number Web> photograph by Getty Images

プロテニス「選手会」会長に就任した添田豪。コート外でも活躍が期待される。

家庭を持つ30代がトップ層。

 しかしそれがATPの改革の目的だ。底が広がりすぎたプロツアーを整理し、生き残る力のある選手たちにはより多くを与え、「世界の全てのプロが賞金で生計を立てられるようにする」ことを理想に掲げる。下部ツアーで蔓延している八百長問題も、賞金で食べていけない選手が多い現実の表れであり、改革と無関係ではないだろう。

 この大きな動きをもう止めることはできず、ならば自分たちでなんとかしなくてはいけない。グランドスラムに何度も出場し、オリンピックも経験した添田は「テニスは世界に出てナンボだけど、世界世界といっても、現実問題として、生活していかないといけない」と、夢と現実の狭間で行ったり来たりする複雑な思いも口にした。

 今回の発起人の多くは妻子ある30代のプレーヤーたちだ。世界に目を向けると、この“家庭を持つ30代”がトップ層のかなりの部分を占めているのだ。そうした選手の姿に、30代でもまだまだやれると奮起する一方で、遠のく世界、経済的な苦しみといった現実がある。

バラバラにならず継続して。

 そんな自分たちのために、そして自分たちが若い頃には抱くことができた夢をもう抱けないかもしれない若い後輩たちのために、この選手会をどう育てていくのだろうか。

 過去にもテニスの選手会は存在した。しかしいつの間にか活動は衰え、バラバラになった。添田によると、かつて選手会長を務めた福井烈・日本テニス協会専務理事からは「始めるだけじゃなく、継続することが大事」と激励されたという。

 継続も大事だが、どうせやるなら派手なことを期待したい。テニスに関わっている年配の者たちが誰も考えもつかなかったようなアイデアと行動力で、私たちを驚かせてほしい。

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