話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
コンサドーレ躍進の理由と2019年。
主力とベテランが離脱する影響は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/27 16:00
チャナティップがボールを持つことで、札幌の攻撃の可能性は一気に広がる。2019年は彼らの本当の力が問われる。
チャナティップの貢献度は極大。
3節までは2敗1分けだったが、4節の長崎戦でロスタイムに決勝点を挙げて劇的な初勝利を挙げると、それ以降15節神戸に敗れるまで11試合負けなし(7勝4分け)と結果を出していった。
ここで選手は、自分たちのサッカーに手応えと自信を持った。
攻撃陣をリードしたのは、チャナティップだ。
タイの至宝は今や札幌の主力になり、そのドリブルはチームメイトたちも「えぐい」と絶賛する一級品だ。30試合出場2アシスト8ゴールという結果はもちろん、数字上に表れない仕掛けの部分での貢献も大きく、彼の存在なくして札幌の攻撃は始まらなかった。
都倉賢は30試合12得点でチーム内トップ。途中出場が11試合ある中で決勝ゴールも多く、チームの躍進に貢献した。また深井一希、進藤亮佑、菅大輝など札幌のユース出身の若手選手が起用されることで成長してきたことも大きい。
営業収入はJ1で16位。
だが、ACL出場の権利を獲得しようというプレッシャーがかかる終盤になると、「ここで勝てば」という試合を勝ちきれなくなった。
9月、川崎と鹿島に連敗したのはともかく、連敗を止めた鳥栖戦の後の横浜F・マリノスに敗れ、湘南と引き分けたのが非常に痛かった。もちろんACLを逃した直接的な要因は、最終節の広島戦で2-0から同点に追いつかれたことだが、その前の段階で勝ち点を積み上げるチャンスを逃していたのだ。追い上げて3位に入った鹿島ほどの粘り強さ、勝負強さがまだ札幌にはなかったということだ。
また、得点は48得点と2017年シーズンより9点増えたが、失点は48失点で昨年よりも1点増えた。川崎戦(等々力)では7失点、神戸戦(ノエスタ)では4失点と大量失点を食らう試合もあり、得点と失点がイーブンではトップ3入りは難しい。
J1の18チーム中、札幌の営業収入約26億円(2017年度)は17位、この予算で4位に入ったのは、クラブがヴィジョンを明確にし、監督の手腕に選手の頑張りがマッチしたことで可能になった。予算が足りないから勝てないというクラブもあるが、それは札幌を見れば根拠のないいい訳にしか聞こえない。
札幌が潤沢とは言いがたい予算をやりくりしながらも結果を出したことは、毎年J1残留争いをするクラブ、低予算のクラブにとってチーム作りのうえで非常に参考になったはずだ。