フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ファイナルに来た2人の元世界王者。
復帰した高橋大輔にエールの言葉。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAkiko Tamura
posted2018/12/16 09:00
左からブライアン・ジュベール、ステファン・ランビエル。指導者としても、しっかり世界の舞台に戻ってきた。
現役復帰した高橋大輔へのエールを!
ランビエルとジュベールは、今からおよそ10年前、世界の表彰台を激しく競った。欧州選手権、世界選手権の表彰台に一緒に乗ったことが何度もある。
「こうしてステファンとコーチとしてこの大会で顔を合わせることになり、とても不思議な気持ちです」とジュベール。
現在34歳のジュベール、33歳のランビエルは、2人とももう「競技スケートに(自分が滑ること)は未練はない」と口を揃える。
特にジュベールは、もう氷の上で自分のトレーニングをすることはほとんどないという。「ソファーに座ってのんびりしているほうが楽」と笑う。
そんな彼らにとって、現役当時ずっと競ってきたもう1人のライバル、高橋大輔の復帰はどう映るのか。
「本人が納得するまでやるべき」
復帰を知ったときに最初に思ったことは、「クレイジー」だったとジュベールは苦笑いしながら告白した。
「ダイスケには、素晴らしい表現があるし、彼の3回転ジャンプは無駄な力が入らない質の高いジャンプです」とジュベール。「あとは、4回転ですね……」と言葉を探す。
「ぼくは彼のスケートが大好きだし、人間としての彼のことも好き。だからこの復帰が、彼にとって良い体験になることを願っています」とジュベールは言葉を結んだ。
一方ランビエルは、こう語った。
「しばらく競技を休んでから、再び競技のためのトレーニングに戻るということは簡単なことではありません」
ランビエル自身、2008年にいったん引退を表明し、1年後に競技に戻ってきた経験を持っているからこその言葉である。
「でも、ダイスケの心の中に滑りたいという情熱があるのなら、本人が納得するまでやるべきだと思う。彼の復帰に幸運を祈っています」
かつて一緒に世界の表彰台にのぼった2人の世界王者から、高橋大輔へのエールだった。