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甲斐キャノンの力を数字で知りたい。
「二塁送球1.8秒」の出所はどこか。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNanae Suzuki

posted2018/11/24 11:30

甲斐キャノンの力を数字で知りたい。「二塁送球1.8秒」の出所はどこか。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

広島の機動力をシャットアウトしたソフトバンク。その中心は甲斐拓也だったが、投手たちの貢献も大きかった。

数値化するとスゴさが伝わることはある。

 日本でデータが公表されづらい背景には、12球団を統括する組織がないことが関係しているのかもしれない。11球団がトラックマンを本拠地球場に設置してデータ共有をしているが、各球団がデータを持っていたとしてもNPBはそれらを吸い上げることができない。

 日米ではリーグのシステムが違うので、これは誰に責任があるわけでもなく、そういう仕組みである以上は変えられない。仕組みを変えられないから仕方がない。

 理屈ではわかっていても、甲斐キャノンの威力を知りながら、それを客観的な数字で知ることができないのは残念でならない。いわば野球の魅力の一部が伝わっていないのだ。

 甲斐のスローイングは、あくまで1つの例に過ぎない。他にも野球には、数値化するとプロのプレーの凄まじさを感じられる瞬間が膨大にある。

 トラックマンなどはそれを伝えてくれるツールであるはずなのだが、データを集積しても公開できない現状は、野球界にとって損失と言えるだろう。

 ただ専門家の声を聞くと、「メディアにも、データを伝えることに関心がない人が多い」という厳しいことも言われた。そういえば、以前にDeNAのラミレス監督が「こちらが数字やデータの話をすると、記者は黙り込む」と言っていたことがあった。

 野球のプロフェッショナル性を伝えるための努力が必要なのかもしれない。自戒も込めて。

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