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長谷部誠の茶髪時代を覚えてる?
失点0にこだわり続ける職人の今。
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byAFLO
posted2018/11/24 11:00
身長180cmでスリムな長谷部はブンデスリーガでも小柄な部類に入る。大きな選手をふっ飛ばしている光景も、珍しくない。
圧巻の攻撃力を誇るFWだからこそ。
メンバーが入れ替わり、当初は多少の混乱期にあったチームも、戦術的に成熟の一途を辿っている。
攻守の切り替え、連動性を高いレベルで実現する。新加入のフィリップ・コスティッチは、昨季所属のハンブルガーSVでドリブラーとして鳴らしていた姿はすっかり影を潜め、堅実な左ウイングバックとして機能している。ここぞというときに、ドリブルでサイドを抉るのだ。
そして圧巻の破壊力を誇る攻撃陣。
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第8節のフォルトゥナ・デュッセルドルフ戦で5得点を挙げ、計9ゴールで得点ランキングの首位に立つ20歳のルカ・ヨビッチ。
そして8ゴールでランク2位タイに付ける長身のフランス人FWセバスチャン・アレ。
さらにロシアW杯で準優勝の偉業を成し遂げた、技巧派のクロアチア代表アンテ・レビッチ。
テクニックと高さと決定力が絶妙に組み合わさった前線を、長谷部は、ブンデスリーガで1、2位を争うクオリティと自負している。
こうした「トップ・マンシャフト」の最後の番人を任されているからこそ、長谷部はゼロに抑えることにこだわるのだ。
まるでカテナチオのような思想。
「前の選手たちが、点を取ってくれる感覚がある。後ろがしっかりゼロに抑えることができれば、やられない感覚、負けない感覚がある」
「後ろ」の選手として、失点をゼロ、もしくは最少に抑えることができれば、このチームは負けない。勝てる。
来季もヨーロッパの舞台に立つに相応しいクオリティを、「今このブンデスリーガで」フランクフルトは備えている。3バックの中心でチームを引き締めるリベロは、そう考えている。
シャルケ戦を3-0の快勝で終えて「今日はトップ・マンシャフトであることを示せたと思うし、これで9試合公式戦負けなしですけど、今やっていて本当にいいチーム状態かと思います」と力強く語った長谷部。
その理想とするところは、まるでイタリアの伝統“カテナチオ”だ。