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緻密な戦術とゲルマン魂を併せ持つ
ホッフェンハイムと31歳監督の頭脳。
posted2018/11/26 08:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Getty Images
確かに成績だけを見ると、物足りない。でも――。
ドルトムント、バイエルン、シャルケといったドイツ勢が今季のチャンピオンズリーグ(CL)で順調な戦いぶりを見せているなかで、ホッフェンハイムの入ったグループFの順位表は以下の通りだ。
1位 マンチェスター・C 3勝1敗 勝ち点9
2位 リヨン 1勝3分 勝ち点6
3位 ホッフェンハイム 1敗3分 勝ち点3
4位 シャフタール 2敗2分 勝ち点2
4試合を終えた時点で、グループステージ突破の可能性は残しているが、残り2試合で2勝したとしても、ライバルの試合結果に左右される、苦しい状況だ。
それでも31歳と58日、CL史上最年少で指揮をとるこユリアン・ナーゲルスマン監督が率いるホッフェンハイムには意思がある。そして、エキサイティングだ。
第3節(△3-3)と4節(△2-2)でのリヨンとの連戦では、ミスと集中力の欠如からそれぞれ失点を重ねて苦戦を強いられたが、いずれも選手交代とフォーション変更で守備を固めてきた相手を完全に崩して、アディショナルタイムに同点ゴールを決めている。
ナーゲルスマンと同じくCLに初挑戦している33歳のドメニコ・テデスコ監督が率いるシャルケが、2勝2分け負けなしの安定した戦いぶりでグループ2位につけているのとは対照的だ。
0-0より4-3のほうが良い。
テデスコ監督は無類の分析マニアで、対戦相手のスカウティングをするために徹夜もいとわないために、メディアから心配されるほど。CLのようなレベルの高いトーナメントでは、相手の良さを徹底してケアしてくるサッカーの方が結果を残しやすいのは確かだ。
それでもナーゲルスマンは屈しない。
「0-0よりも、4-3のほうが良いよね」
CLでは引き分けでも良しとするクレバーな戦いが求められる場面も出てくるが、そんなところには目もくれない。
ナーゲルスマンの志向する、攻守ともに自らアクションを起こしていくスタイルは、CLの舞台で戦うにはあまりにアグレッシブすぎるのだろうか?