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キエッリーニが代表100試合到達。
知性と野性を併せ持つ“ドクター”。
posted2018/11/23 17:00
![キエッリーニが代表100試合到達。知性と野性を併せ持つ“ドクター”。<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/d/2/1500wm/img_d2ffc3e834708ab9f72629e0cbc05f5b415783.jpg)
ブラジルW杯ではスアレスの噛みつき被害にあったキエッリーニだが、それほどまで相手FWを辟易させる存在なのだろう。
text by
![手嶋真彦](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
手嶋真彦Masahiko Tejima
photograph by
Getty Images
「誇らしく、興奮した」
イタリア代表のジョルジョ・キエッリーニが喜びをそう表現したのは、ずっと敵地でしかなかったスタジアムでスタンディング・オベーションを受ける主役となったからだ。
トリノを本拠地とするユベントスで在籍14シーズン目を迎え、今季からはキャプテンを務めるキエッリーニは、2018年11月17日のポルトガル戦でイタリア代表での通算100試合目を刻み、それまでは敵地にすぎなかったミラノのジュゼッペ・メアッツァで大いに讃えられたのだ。
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イタリア代表で通算100試合出場の大台に乗せたのは史上7人目。たったの7人であり、容易には到達できない高みと言える。屈強なCBで若い頃は頻繁に左SBもこなしたキエッリーニは、歴代6位のディノ・ゾフ(GK)の112試合をすでに射程に捉えている。
奇しくも、節目を迎えたポルトガル戦からちょうど14年前の2004年11月17日に、A代表での第一歩を踏み出した。当時20歳だったキエッリーニのこの大成を誰が予想しただろう。
修士号を取得した文武両道。
歴代1位のジャンルイジ・ブッフォン(176試合/GK)をはじめ、2位のファビオ・カンナバーロ(136試合/DF)、3位のパオロ・マルディーニ(126試合/DF)、4位のダニエレ・デロッシ(117試合/MF)、5位のアンドレア・ピルロ(116試合/MF)は、いずれも早くから注目を集め、相当な逸材と目されていた。
キエッリーニの場合は、自らも「12歳や14歳の頃の僕は、他の選手よりも優れているとは見なされていなかっただろう」と回顧する。だとすればなおのこと、この偉業は讃えられてしかるべきだ。
いっそう賞賛されていい理由はもうひとつある。キエッリーニは2017年4月に修士号を取得した文武両道の体現者なのだ。
大学で経済学と経営学の学士号を取得後、社会人向けの大学院へと進み、オンライン中心の授業を受けながら、32歳にして経営学のマスターコースを修了する。
「まだ独身だった頃は毎日夕方に2時間。試験の前はチームメイトと一緒の時も勉強していた。家庭を持って娘が生まれてからは、娘と離れてチームと一緒にいるときにしか勉強しなかった」