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錦織圭「今年最悪の試合の1つ」
0-6、1-6の大敗はなぜ起きたか。 

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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photograph byGetty Images

posted2018/11/14 11:40

錦織圭「今年最悪の試合の1つ」0-6、1-6の大敗はなぜ起きたか。<Number Web> photograph by Getty Images

フェデラーに勝利した2日後に、珍しい大敗を喫した錦織圭。ラウンドロビンはもう1試合ある。立て直してほしい。

「焦らされてというか」

 錦織は英語の会見でも日本語でも「ボールの感触がよくなかった」と口にした。ただ、昨日、そしてこの日の午前の練習では「感覚は良かった」という。

「(感触が悪くなったのは)急にですね。なかなか組み立てることができず、早い展開でもあったので、ストローク戦もさせてもらえず、なかなかリズムをつかめなかった。自分の感覚を取り戻す時間がなかった」

 錦織のタイミングが合わない凡ミスは確かに多かったが、アンダーソンに重圧をかけられ、ミスを強いられたことも指摘しておきたい。

「彼のボールの質のせいで、なかなか時間に余裕を持ってプレーさせてもらえなかった。終始、焦らされてというか、ゆっくりラリーをさせてもらえないので、それが原因だったのかなと思う」

 ストロークの違和感についての錦織の自己分析だ。サーブから、またこの試合ではリターンからも、アンダーソンは早い展開を仕掛けてきた。

ストロークの球速も相手が上。

 低い弾道の速いストロークで錦織を走らせた。フォアハンドの平均球速は時速117キロ、バックハンドは同118キロと錦織の数字を大きく上回った。しかも、その精度の高さは、フォアハンドが5本、バックハンドが7本というアンフォーストエラーの少なさにも表れている。

 アンダーソンが会心のゲームをこう振り返った。

「最高のゲームができた。彼に絶えずプレッシャーをかけ続けることができた。彼とやるときは油断がならないんだ。動きが良くて、早いタイミングでボールを捕らえるから。だから僕は自分のゲームを押しつけるにはどうすべきかと考える。そこがキーになる」

 自分のゲームを押しつける、すなわち相手に強いるというのは海外の選手がよく使う表現だ。錦織は時間を与えれば、どんな相手でもラリーを制圧する能力がある。それを封じるために、パワーとスピードでたたみかける「自分のゲーム」を押しつけたのだ。

【次ページ】 「ティームは勝てるチャンスもある」

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