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ラミレスはやはり名監督なのでは?
得失点-70で4位を維持する能力。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2018/11/15 07:00

ラミレスはやはり名監督なのでは?得失点-70で4位を維持する能力。<Number Web> photograph by Kyodo News

就任3年目ではじめてCS出場を逃したアレックス・ラミレス監督。しかし数字を見ていくと……。

四球が少なく、8番が投手。

3.初球から打ちに行く

 DeNAはチームとして、初球打ちの傾向が強い。セ・リーグ6球団の四球数と出塁率に如実に現れている。

ヤクルト 四球率561 出塁率.347
中日   四球率402 出塁率.325
広島   四球率599 出塁率.349
巨人   四球率465 出塁率.325
阪神   四球率528 出塁率.330
DeNA  四球率363 出塁率.307

 DeNAの四球数は12球団で断トツに少ない。ラミレス監督は「四球を選ばず、初球から積極的に打っていく」と公言しているが、それが如実に表れた数字だ。

 実は打者としてのアレックス・ラミレスも、NPB史上有数の四球が少ない打者だった。2012年などは504打席に立って18しか四球を選んでいない。早打ちは彼自身のポリシーなのだ。

 そのために出塁率を重視するMLBでは出世できず、NPBにやってきた。NPBでは早打ちを「積極打法」と評価する考え方があり、受け入れられたのだ。

 ラミレスは監督になってから、チームもそのように変えたのだ。ラミレスと同郷のホセ・ロペスは、ボスと同じタイプで今年は459打席でセの規定打席以上で最少の16個しか四球を選んでいない。

4.8番に投手を据える

 ラミレス監督が8番に投手を据えたのは、就任2年目の2017年4月14日のヤクルト戦のウィーランドが最初だ。そしてこの年の5月4日以降、DH制で投手が打席に立たない交流戦を除くすべての試合で8番に投手を入れてきた。

 2017年は9番打者が打率.259、51打点を記録、9番が起点になって勝利をつかむシーンも多く、8番投手にはメリットがあると思われたが、今季の9番の打率は.203、38打点。この数字では8番と9番が入れ替わっただけで、メリットがあるとは思えない。

 しかしラミレス監督は今年もDH制で投手が打席に立たない交流戦を除く134試合で、このオーダーを採用した。

 こうして見てくると、ラミレス采配は、非常にポリシーがはっきりしていることがわかる。また、一度方向性を決めたら、多少結果が出なくてもぶれることなく押し通す強さがあることもわかる。

 指揮官がここまで明快だと、選手も動きやすいのではないかと思う。外国人指揮官らしく、日本の伝統的な戦略に拘泥せず、奇策であっても良いと思えば迷わず取り入れている。

三原脩の采配を思い出す。

 ラミレス采配を見ていると、私は1人の名将を思い出す。

 その名は三原脩。戦前は六大学のスター選手として名声を博し、巨人に入団(当時は大日本東京野球倶楽部)。戦後に巨人の監督となるが、ライバル水原茂の復帰とともに球団を出て、西鉄ライオンズの監督となる。そして弱小の新興球団を中西太、豊田泰光、稲尾和久ら無名の選手の力で強豪に育て上げ、宿敵巨人に何度も苦杯をなめさせた。

 その後、大洋、近鉄、ヤクルトでも采配を執る。そういう意味ではラミレス監督の大先輩だ。

 三原は弱小球団の乏しい戦力を有効に活用し、強大な名門チームに対抗した。「あて馬」を考案したのは三原だ。中継ぎ投手を有効に活用したのも三原脩が最初だと言われる。控えクラスの選手を「超二流選手」と命名し、うまく活用した。また、「一番投手」などの奇策をしばしば用い、三原マジックと言われた。

 常識にとらわれず、勝利のためにあらゆる策を弄する。三原脩の野球は玄人好みで、見ていて面白かったと言われる。

 まだ3年しか采配を執っていないラミレス監督を殿堂入りの名将三原脩に比すのは時期尚早かもしれないが、ラミレス采配は、三原マジックと同様何をやらかすかわからないわくわく感がある。

 シーズンが終わったばかりだが、来季のラミレス監督に期待をしたいと思う。

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