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若手主体ドルトムント、首位快走。
香川真司のトップ下での序列は?
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2018/11/02 10:30
20代前半のアタッカーたちが好調のドルトムント。香川真司は経験値を生かしてこの一角に入り込めるか。
柔軟な戦術と若手の抜擢。
ここまでのファブレ監督の選手起用法や采配を観察すると、当初言われた「スタイルに固執する指揮官」という印象はありません。
むしろ、チーム内の選手陣容や対戦相手によって柔軟に戦い方を変えていると思えます。ドルトムントはチーム成績と反比例して負傷者が多いのですが、監督はそのような有事で適切な采配を施して勝利に導いていると感じます。
特に目を引くのが潜在能力のある若手選手の抜擢ではないでしょうか。
センターバックのレギュラーであるフランス人のダン・アクセル・ザガドゥは19歳。今季マインツから加入したアブドゥ・ディアロは22歳で、新進気鋭の選手が最終ラインの中央を固めています。左右のサイドバックをこなせるモロッコ人のアクラフ・ハキミも19歳。
また、私がドイツのブスケッツだと勝手に思っているユリアン・バイグル(23歳)、「イングランドの星」と言われるジェイドン・サンチョ(18歳)、以前から頭角を現しているクリスティアン・プリシッチ(20歳)、新戦力のマリウス・ボルフ(23歳)、同じく新戦力のデンマーク人ヤコブ・ブルーン・ラルセン(20歳)など、もはや23歳以下でもチームが編成できる勢いです。
そこに、経験豊富な選手たちがうまく噛み合ってリーガの首位を走っているのですから、これからのドルトムントには期待しかありません。
今季の正念場はこれから。
最近のファブレ監督は、開幕当初とはまったく違っています。試合前日の記者会見からニコニコして笑いが止まらない様子。リーガで2連敗しただけで針のむしろに立たされたバイエルンのニコ・コバチ監督の、引きつった表情とは対照的です。
やはりこちらの人たちは喜怒哀楽が顔に出てしまうんだなぁと思います。
シーズン序盤の暗中模索から、いつの間にか絶好調になったドルトムントですが、実は今シーズンの正念場はこれから訪れると思われます。
特に来週が山場です。
11月6日のCL第4節、前回完膚なきまでに叩きのめしたA・マドリーとアウェーで再戦します。ジグナル・イドゥナ・パルクで赤っ恥をかいたA・マドリーとしては雪辱戦になるでしょうし、なにより、あの強面のディエゴ・シメオネ監督が黙っていないでしょう。