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完全アウェイも「逆に楽しい」。
“久保世代”U-19は冷静に勝てる。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byMasahiro Ura

posted2018/10/30 17:30

完全アウェイも「逆に楽しい」。“久保世代”U-19は冷静に勝てる。<Number Web> photograph by Masahiro Ura

伊藤洋輝(7番)と連動する久保建英。彼らはすでに大アウェイでも臆さないメンタルを持っている。

みんながキャプテンみたいに。

「キャプテンの僕が声を掛けると言うよりは、1人1人が声を出して意識しながらやることが多かった。チーム全員が『勝ちたい』気持ちのもとにやっていたので、僕が必要以上に声を掛ける必要がなかった。みんながキャプテンみたいな意識を持ってやってくれているのが試合の中で分かった」とは齊藤の言葉だが、その通り、日本は徐々に自分たちの時間帯を作っていった。

 そして迎えた70分。スタジアム上空が雷鳴に包まれる中、試合を決定づけるゴールが生まれた。右サイドで宮代とのパス交換で抜け出した久保がグラウンダークロスを送り込むと、ニアサイドに走った宮代がゴールに蹴り込んだ。この瞬間、6万人の会場が一気に静まり返った。

「あのゴールの前から何回か(宮代)大聖とボールを繋いでいて、自分の方にマークが増えたら、大聖に戻す形でした。(齊藤)未月くんからも『お前のところにマークが集中するだろうから、簡単に放してもらい直した方が良いよ』と言われていたので、それが効果的に出せたと思います」(久保)

 このゴールで勝負は決した。日本の守備は破綻することなく、インドネシアに最後まで自由を与えず、2-0のタイムアップ。U-19日本代表が2大会連続となるU-17W杯出場を手にした。

「2つ目の目標に」(久保)

「後半、相手が前がかりになって、しかも雨が降ってきた。難しいゲーム展開の中でも『我慢するんだ』、『辛抱するんだ』、『しっかり対応しろ』と選手が言っていた。途中で選手に声を掛けたら、『全然大丈夫です。みんな集中できているので問題ないです』と答えてくれた。それはこの試合、大会で身につけた彼らの成長の証だと思う」

 試合後、影山雅永監督がこう力強く語ったように、チームは自分達で状況を把握し、コンセンサスを取って、大アウェイのピッチで90分間表現してみせた。

「ほっとしたというか、『まだこのチームは解散しないんだ』という想いが湧き起こって、次の目標はこの大会で優勝をすることだと切り替えられた。まず1つ目の目標はクリアできたので、2つ目の目標に向かいたい」(久保)

 来年までチームを継続できる権利は得た。次は2大会連続アジア制覇に向けて――。若き日本代表が価値ある勝利を自分達の手でつかみ獲った。

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