第95回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
上級生の底力に期待の国士舘大学。
山梨学院大学は本大会にベストで臨めるか。
text by
箱根駅伝2019取材チームhakone ekiden 2019
photograph byYuki Suenaga
posted2018/12/12 11:00
予選会ではアクシデントが多発。
「他のチームのペースがちょっと速かったという部分もありますが、ペース配分というよりも脚の痙攣や腰痛といったアクシデントが痛かった。出木場(風吹、4年)も両足にマメが出来てしまって……。そういう部分ではちょっと気負った部分があったかと思います。持ちタイム的にも5~6番での通過が妥当じゃないかと思っていたので、その点では悔しいという思いが強いですね」
大きな誤算だったのはハーフマラソンで1時間3分48秒の記録を持つ久保和馬(4年)と、今季ハーフで1時間4分6秒、10000mでも29分24秒51まで自己記録を伸ばしている首藤貴樹(3年)だ。ともにチームの上位に入ってくれると期待していたが、久保は両脚に痙攣が起きて10km以降は大きく失速。首藤も10kmまではエースの永戸と同じタイムで通過したが、腰痛の影響からチーム7番目の順位に留まった。上田監督は「この辺は調整不足が出てしまいました。ふたりとも2、3分ずつ悪かったので」と反省する。
最大の課題は、自分たちとの戦い。
「収穫としては、元々は中距離選手だった清水鐘平(4年)が1時間4分19秒でチーム3位になったことです。『箱根駅伝に出るのは夢だ』と今季はしっかり長い距離を走ろうと努力をしてきた。すでに実業団に行くことも決まっているので、スピードを兼ね備えた選手として活躍するためにも箱根はいい経験になると思います。まだまだ可能性を持っていると思うので、箱根ではさらなる力を発揮してくれると思います。
それから唯一の2年生・森山真伍も15kmまではまずまずのペースで走っていた。うちの場合は毎年インターハイの決勝に残った選手は数人しかいないので、1、2年生の時は鍛えていかなければいけない選手ばかりで層も薄い。清水のようなインターハイも何も経験してない選手がここまで来れると、他の選手も『自分たちもいけるんじゃないか』という気持ちになってくれると思います」
ただ、33回連続出場を果たしたとはいえ、シード権を逃したこの2回の戦いを振り返れば、レース以前のコンディショニングの失敗が大きく影響していた。'17年は主力選手3人がインフルエンザに感染して欠場。'18年は病気による体調不良こそなかったものの、主力級の4年生だった市谷龍太郎と河村知樹が直前になって調子を崩して走ることが出来ず、箱根駅伝経験のある久保はエントリーメンバーにも入れない状況になった。今回の予選会も、予想外の10位になった要因には主力の調整の狂いがあった。
エースのニャイロは走った後は「足の痛みも出ていない」と本番に向けて調子を上げていけそうな気配だけに、それに続く往路を走る選手たちのピーキングをしっかり合わせることが第一の課題になってくる。今回の山梨学院大学は他チームとの戦いではなく、“自分たちとの戦い”に勝利することが最も重要になるだろう。