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同級生・大迫傑が理想のフォーム。
クロカンスキー宮沢が狙う北京五輪。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/10/23 10:30
夏場、妙高高原で練習をする宮沢大志(右)とパートナーの藤ノ木光。
大迫のようなフォームが理想。
トレーニングは2週間で1サイクル。水曜日の午後以外は、毎日2部練習。夏季の鍛練期は徹底的に体を追い込み、冬に戦える体を作り上げる。完全休養をとるのは稀だ。
「午前中にインラインスキーで40kmの滑り込み、午後は1時間半で15kmの走り込みなどですね」
宮沢はさらりと話すが、過酷な練習量だ。
疲れてくると腰が下がったり、背中が丸くなったりする。そういったフォームで滑っても、練習の効果は得られない。正しいフォームを意識し、競争相手がいなくても追い込まなければ、レースの大事な局面で対応する力は身につかない。練習で自分との戦いに勝つことが、レースに結びつく鍵になる。
現在、宮沢は『フォアフット』、つま先接地へのフォーム改良を試みている。
「大迫(傑)のようなフォームが理想です」
早稲田大学の同級生で、先日、マラソンの日本最高記録を出した大迫を例に挙げる。
「スキーの場合は重心が後ろになるとブレーキがかかってしまいます。重心が前にあれば推進力を得やすくなり、上半身にも余裕が生まれます。余分な力を使わなければ、ラストスパートでの切り替えにも対応できるようになると思うんです」
積極的なレース展開を。
また今季は、「積極的なレース展開」を心がけたいとも言う。これまでトップ選手とレースの際に、気後れしてしまい、なかなか自分のレースをすることができなかった。相手の戦略にはまり、気付いたらスパートで置いていかれることも多かった。
しかし昨季のワールドカップ最終戦で「自分で引っ張ったら、思ったよりもいいレースができました。夏の間もそういうレースを意識しながら練習してきたという自負があります」と明るい。
4年後の北京五輪に向け、今季は走りの技術、そして戦略を試し、磨き上げていく。練習内容や練習量では強豪選手に劣っていない。技術力、そして強い心を持てばチャンスはあると考える。
「4年後にメダルに絡むレースをするために、まずは今季、ワールドカップでこれまでの自己最高順位11位を上回る成績を出したい」
10月27日にスウェーデンに向かい、雪上トレーニングを行なった後、11月下旬のワールドカップでシーズン初戦を迎える。
宮沢に、もう迷いはない。熱い気持ちを滑りに乗せる姿を期待したい。