Overseas ReportBACK NUMBER
同級生・大迫傑が理想のフォーム。
クロカンスキー宮沢が狙う北京五輪。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/10/23 10:30
夏場、妙高高原で練習をする宮沢大志(右)とパートナーの藤ノ木光。
「頑張って、4年後に北京」
3月のワールドカップ。新たに取り組んでいる技術や作戦に挑戦した。順位に大きく結びつけることはできなかったけれど、手応えを感じた。
幼い頃からスポーツは万能だった。練習せずに出場したアルペンスキーで優勝したり、野球もうまかった。でもクロスカントリーだけはいつも2番だった。
「負けたのが悔しくてクロスカントリーを続けたんです。まだ世界で1番になれていない。ここで辞めるわけにはいかない」
進退を決めるシーズン後、迷いは消えていた。
「頑張って、4年後に北京へ行く」
スポンサーのJR東日本スポーツも宮沢の気持ちに理解を示し、北京五輪まで支援を約束してくれた。
折れかけた心に再び闘志の火が灯った。
オフシーズンは雪上以外で。
宮沢の行うクロスカントリースキーの本場はヨーロッパ。11月のシーズンインから3月までヨーロッパを拠点に過ごし、日本選手権などの際に日本に戻ってくるという生活をここ数年送っている。
シーズンが終わるのは、花の蕾が膨らみ始める春。わずかなオフをとると、すぐに翌シーズンの練習に入る。
宮沢は新潟県の妙高高原に拠点を置き、家賃4万5000円のアパートを練習パートナーでもある後輩の藤ノ木と折半し、生活している。
「冬季は家を空けることが多いですし、競技にはコストがかかるので、贅沢はできません」と宮沢は話す。
ヨーロッパの強豪国は、夏場には南半球に拠点を置き、年間を通して雪のある場所で練習を行うが、活動費に限りのある宮沢や日本選手は、オフシーズンの間、雪のない環境で工夫しながら練習しなければならない。
夏季は主にインラインスキー、ランニング、自転車、ウェイトトレーニングなど、持久力とスピード、そしてパワーをつける練習をバランス良く行う。妙高高原は、深い緑で覆われた山、交通量の少ない広い車道。練習するにはもってこいの場所だ。