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高木菜那&美帆が語った平昌の後。
勝気な姉と真面目な妹の心模様。
posted2018/10/14 17:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kyodo News
日本中が熱狂した2月の平昌五輪から8カ月が経った。暑さに辟易した夏が過ぎ、季節は秋。ウインタースポーツのアスリートたちは本格的なシーズンインに備えて準備をひとつひとつ進めている段階だ。
10月上旬、長野県で合宿中のスピードスケート・ナショナルチーム勢を取材した。平昌五輪女子チームパシュートとマススタートで2つの金メダルに輝いた高木菜那(日本電産サンキョー)と、チームパシュート金、1500m銀、1000m銅と1大会で金銀銅メダルすべてを獲得した高木美帆(日体大助手)も、その中にいた。
平昌五輪が終わった直後は、達成感と疲労から“先のことは分からない”というニュアンスの言葉を口にしていた2人だが、北京五輪を見据えて引き続き日本を率いることになったヨハン・デビットコーチの下、新シーズンの始動からともに汗を流している。
五輪で結果を残した2人の心は。
9月6日に発生した北海道胆振東部地震による停電で、帯広市の明治北海道十勝オーバルの氷が溶けてしまい、9月はほとんど氷上練習ができなかったが、10月上旬から長野・エムウェーブで滑り込みが始まった。
今はシーズンの本格的な開幕となる全日本距離別選手権(10月26~28日、長野・エムウェーブ)に向けて、急ピッチで仕上げている状況だ。
そんな中で気になっていたのは、やはり彼女たちのメンタルだった。五輪という大舞台で大きな成果を残した2人の、心の現在地はどこにあるのか。
「やっと滑れたということもあって、モチベーションは高いと思いますね」
さわやかな笑みを浮かべてそう言ったのは姉の菜那だった。
「7月ぐらいまでは気持ちが入らなかったり、ただ練習をこなしてるだけということが多かったのですが、時間がたつにつれて、モチベーションは上がってきたと思います」