【NSBC補講IV】皆川賢太郎のスキー革命論BACK NUMBER
冬季アスリートに突き抜けた個性を。
皆川賢太郎が与える“刺激”とは。
posted2018/10/31 10:30
text by
皆川賢太郎Kentaro Minagawa
photograph by
Getty Images
10月末から各種目ワールドカップも始まり、いよいよ今季もウィンタースポーツシーズンが本格化します。
次の2022年北京五輪に向けたあらたなるスタート。しかし、選手たちはこれまでのシーズン同様、競技力向上のため鍛錬する姿勢は変わりません。
一方、全日本スキー連盟(以下SAJ)としては、選手たちが競技に専念できる環境をさらに細分化して考え、整備しなければなりません。環境とは、滑走日数の確保であり、資金、サイエンスなど……。選手たちをサポートするインフラは非常に大切なものだと捉えています。
昨季はドラスティックに何かを変える必要はないと考え、ガバナンス的なものや人事評価サラリーや競技本部の支出と収入のバランスを俯瞰し観察していたシーズンでしたが、今季は組織形態からの抜本的な見直しを行ない、「機能」の改善を重視した改革にシフトしています。
強化活動のインフラを整える。
実は昔からあまり変わっていない選手たちの強化活動に対し、インフラを整えることは最重要課題と言えます。
今はiPadで瞬時に映像を確認することが可能ですが、私が選手だったころはすべてがアナログで、練習で1本滑ると、コーチが撮影した映像を宿舎に戻った後、夜にリマインドする、ということが普通でした。もちろん、本来は1本ずつ、その場でリマインドすべきなんですが、当時はそういった環境は整っていませんでした。
ただ、瞬時に映像で自分の滑りを確認することはできますが、その映像を分析するソフトも必要になる。今はまだ自分たちの独自資金のみで実現させるのは不可能なので、各方面の力を借りながら実現しようとしている状況です。
環境整備はなぜ必要なのか――。
時間は1年365日、1日24時間しかありません。しかも、肉体を酷使する選手たちが稼働できる時間には限りもあります。だからこそ、こうしたインフラの整備や練習密度を高める試み絶対的に必要なのです。こういった準備を今季粛々と行えば、2022年北京五輪の2年前までには、それをコーチや選手たちが使いこなし、競技に生かせるという青写真を描いています。