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ルメールの判断、度胸、運は段違い。
4戦目の馬で菊花賞制覇の名手ぶり。
posted2018/10/22 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
クリストフ・ルメールの“神騎乗”が止まらない。前週の府中牝馬ステークス(ディアドラ)、秋華賞(アーモンドアイ)、この週の富士ステークス(ロジクライ)、そして菊花賞(フィエールマン)と、重賞騎乗機会4連勝。勝率2割で一流と言われる騎手界にあって、この2週間(開催4日間)で34戦15勝と、5割近い勝率で勝ちまくっている。
クラシック三冠の最終戦、第79回菊花賞(10月21日、京都芝外回り3000m、3歳GI)をルメールが騎乗した7番人気のフィエールマン(牡、父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎)が優勝。デビュー4戦目での勝利は、従来の6戦目を更新する、菊花賞最少キャリア優勝記録となった。
田辺裕信のジェネラーレウーノが好スタートからハナに立った。大逃げではなく、すぐ後ろに他馬を引き連れた溜め逃げを打ち、最初の1000m通過は1分2秒7。そこから2000m地点までの1000mは1分4秒2と、さらにペースを落とした。
「直線に向いて、少しガマン」
一見、逃げ・先行馬に有利な流れに思われたが、あまりにスローだったため、すべての馬が脚を溜めることができ、最後はヨーイドンの瞬発力勝負になってしまった。
2000m地点からゴールまでの1000mは59秒2という、スプリント戦のようなペース。特に、最後の2ハロンは10秒7-11秒3という、切れる馬でなければ勝てない流れになった。
それを見越して早めに前との差を詰めていたミルコ・デムーロのエタリオウが、4コーナーで大外から進出し、直線入口では突き抜けそうな手応えだった。1番人気のブラストワンピースも遅れまいと、その後ろから脚を伸ばす。
これらの内の馬群のなかにいたフィエールマンも絶好の手応えだったが、前が壁になって動けずにいた。ルメールが「直線に向いて、ちょっとガマンした」と振り返ったシーンだ。