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錦織圭は決勝8連敗でも勝負強い?
ランク急上昇の謎をデータで究明。
posted2018/10/17 11:20
text by
今田望未Nozomi Imada
photograph by
Hiromasa Mano
つい8カ月前、錦織圭は闇の中にいた。
下部ツアーのチャレンジャー大会で初戦敗退。翌週の同じくチャレンジャー大会、痛めた手首の状態を確かめながら手探り状態で優勝した。そんな錦織を見て、もうランキングトップ10に戻ることはないのではという声も上がった。
それから8カ月、マスターズ準優勝、全米オープンベスト4を経て錦織は今週11位。トップ10に戻ることが決定的となった。
それだけではなく、約1カ月遅れでシーズンをスタートしていながら、ツアー最終戦出場を懸けて残り2大会を戦うことになった。日曜日の上海マスターズでも圧倒的な力を見せて優勝したノバク・ジョコビッチ(セルビア)の陰に隠れがちだが、1年経たずに見事なカムバックを果たした錦織も異常なペースでランキングを戻しているのだ。
では、トップ10復帰を象徴する試合データは現れたのだろうか? 調べてみると意外な結果が浮かび上がった。
芝でサービスエース向上の数字。
今シーズンの錦織は、サーブフォームの改造に着手した。負担のかかりにくいフォームにすることで手首のけがの再発を防げるよう、ウィークポイントであるサーブにメスを入れた。
効果は表れ、芝コートのシーズンではキャリア最多となる53本のサービスエースを放った。試合を見ていても、追い込まれたポイント状況の中、サーブ1本で切り抜けるシーンが多いように感じる。
こう振り返ってみるとポイント獲得率の上昇も見られそうなものだが、実はそうではない。