サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
酒井高徳から“若き代表”への言葉。
「19歳で代表入りするくらいないと」
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph byAFLO
posted2018/10/16 11:30
ベテランとしての役割を一身に背負ってハンブルガーSVを牽引し続けている酒井高徳。
純粋に代表を応援して、自分も励む。
酒井の中では、日本代表に対して「はっきりと」区切りはついていた。
もちろん“サムライブルー”に何も感じなくなった、ということではない。
この秋の代表戦もライブで観たという。だが、そこに未練のようなものは一切感じられない。母国を代表する選手たち、かつて共に戦った仲間たちを純粋に応援しては、励まされているのだという。
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それほどまでに酒井は、目の前の戦いに集中しているのだ。
愛するチームを2部に落とした悔しさ。
昨シーズン――2度の監督交代を経て、刀折れ矢尽きるまで戦ったが、ハンブルガーSVは、力及ばず2部に降格した。
主将として腕章を巻いた酒井は、即座にチームに残ることを表明。クラブとの契約を2020年まで延長した。ハンブルガーSVに対する気持ちはドイツ人選手も含めて、ひょっとすると誰よりも強いかもしれない。そして日本代表から退いたことで、昇格を目指す今季の戦いに専念できるメリットがあるのだ。
「2部に落としてしまった昨シーズンの悔しさがあるので、また1部に上げたい強い気持ちがありますので。だからチームに集中できる時間があることは、僕にとって非常にいいことだと思っているんです。試合をこなせばこなすほど、チームの成熟度は上がってくると思うので、そこに1つ自分の力を加えられれば、と」
日本代表の活動に参加しなくなったことで、ハンブルガーSVでの「チャレンジ」に集中できる。
ダルムシュタット戦の後半で酒井は、敵陣に入って内側にポジションを取ると、積極的にボールを引き受け、攻撃が円滑に進むように回していった。
「引いた相手に対して、各ポジションの選手が立った状態、ステイの状態でボールを要求するとなかなか崩すことはできないので……監督が非常にポジションチェンジを好むんです。ミーティングの中でも、ちょっと攻撃が停滞したと思ったらサイドバックが中に入ってサイドハーフを開かせて、8番のポジションの選手を裏に引っ張ってと。そういうプレーも、自分の新しいチャレンジにもなるかなと思っているので楽しくやっています」
こうした「新しいチャレンジ」を楽しむのと同時に、酒井はその持ち前の責任感で、伊藤達哉、ヤン・フィーテ・アルプといった若い選手の多いチームを引っ張っていこうとしている。
今季はアーロン・ハントがキャプテンマークを腕に巻き、酒井は選手たちをまとめる幹部の1人に名を連ねている。だが、肩書きで行動が左右されることはないのだそうだ。
「チームの幹部が5人いる中で、自分もキャプテンらしく若手を引っ張るような役割を監督に求められていますし、僕としてはキャプテンをやっていてもやっていなくても、同じような対応を皆にするようにしていますので」