話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
東口順昭「4年後は自分が出る」
森保JのGK争いを一歩だけリード。
posted2018/10/16 07:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
「しっかりゼロに抑えて、ええ試合やったと思います」
パナマ戦、3-0で勝った試合を観て、東口順昭はそう言った。
森保一監督になって、日本代表は2試合目。今回は、権田修一がゴールマウスを守り、あまり見せ場はなかったが、それでもクリーンシートはGKにとっては嬉しいものだ。東口の感想はGKとしてとても素直なものだったのだろう。
森保監督のデビュー戦となった9月のコスタリカ戦では東口がスタメンで出場。落ち着いてプレーし、何度か好セーブも見せて3-0の完封勝利に貢献した。
「結果的に相手をゼロに抑えたし、揺さぶられるシーンもなかった。初めてのゲームとしえては良かったと思います」
東口は、代表の新たなスタートでの勝利にホッとした表情を見せた。
バチバチと火花を散らすほどではないが、カタールW杯に向け、たったひとつのGKの椅子を巡る争いがもう始まっている。
W杯で味わったGKの怖さ。
5カ月前、東口は右頬骨骨折など複数の顔面骨折から復帰し、ロシアW杯を戦う日本代表のメンバーに選出された。本大会直前のパラグアイ戦では1失点したが調子は良く、自信満々でロシアに乗り込んだ。しかし、本大会では川島永嗣がゴールマウスに立った。
「なんで、試合に出れへんのか」
焦りと悔しさを噛み締めて自問自答すると、「監督の信頼を勝ち得ていない」という結論に達した。それでも「試合に出たい」という気持ちは募ったが、GKの恐さもW杯のピッチから感じた。セネガル戦、川島がパンチングしたボールが相手の足に当ってゴールを許し、GKのミスと厳しく批判されたのだ。「GKにしか分からない判断」と東口は川島をフォローしたが、W杯という舞台ではこういうシーンが誰にでも起こり得る。
「GKの責任の重さと恐さをW杯で改めて感じました」
出場できなかった悔しさと恐さは、忘れられない土産になった。