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酒井高徳から“若き代表”への言葉。
「19歳で代表入りするくらいないと」
posted2018/10/16 11:30
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph by
AFLO
代表ウィークに入っても、日本代表の活動に向かうことは無くなった。だが、酒井高徳の中に“違和感”はないようだ。
「(日本代表からの引退は)はっきりと自分の中で意思を持って決めたことでした。なので、もう自分の中で、日本代表というのがほとんど頭に残っていない状態ではあるので……あまりこう、変な感じはしないですね」
酒井は、穏やかに微笑んだ。
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10月5日、忘れかけていた夏の暑さを取り戻した、ヘッセン州の静かな街――。
代表ウィークに入る前の最後の試合。ハンブルガーSVは、SVダルムシュタット98を2-1のスコアで振り切った。敵のパワープレーに呑み込まれ、後半の終了間際に1点を返されはしたが、ハンブルガーSVのポゼッション・スタイルは、試合を通して概ね安定した。
酒井は右サイドバックのポジションでフル出場。闘志を表に出して戦った。試合後には手応えを感じたようだ。
「前々試合、前試合と守備のところですごくいい、連動とかね、組織的な守備ができるようになってきたので、それが継続して今日は出せたと思います。それプラス、サッカーの部分で少し自信を取り戻したかなっていう感じは、今日見ることができました。チームとして、1度5-0でやられた時に崩れたところから、少しまた立て直していけている、ということを現状として感じますね」
代表戦がないのは寂しくないか?
7月に行われたロシアW杯の決勝トーナメント1回戦。ロストフでベルギー代表との死闘を終えると、酒井は、日本代表から退くことを表明した。
アジア杯、2度のW杯……'12年9月にデビューしてから、7年に渡って戦った光り輝く舞台の数々。もう酒井がアジアの荒波を乗り越え、世界最高峰の舞台に立つことはない。もちろん「はっきりと自分の中で意思を持って決めたこと」だ。しかし、ブンデスリーガの激しい戦いが一段落し、代表ウィークに入った時、一抹の寂しさを感じるようなことはないのだろうか。
「むしろこう、ハンブルクにいて、少し休みももらえて、自分の時間を使えることも多くなって来ますし……ただ、代表のことはいつも注目しているし、本当に色々なものを教わって、教えてもらった。そこで成長させてもらった自分もいる。全く寂しくないかっていったら、違うとは思うんですけど。
ただ、今頑張っている代表選手たちを見て、もう一回自分も頑張ろうって思える1つの要素でもあるので、思ったより寂しい気持ちはない、と思いますね」