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ラスベガスの「QUINTET3」で
桜庭和志が伝えたかったこと。
text by
柳澤健Takeshi Yanagisawa
photograph byTakashi Iga
posted2018/10/09 18:00
日本以外では初の開催となったラスベガス大会。優勝したのはユライア・フェイバー率いる「チーム・アルファメール」だった。
QUINTETの本質は桜庭そのもの。
じつは会場には何人ものUFCファイターがお忍びで訪れていて「すごい! 私も出たい!」とツイートした結果、『QUINTET』はツイッターのトレンドで全米1位となった。
プロレスと格闘技の両方で、世界で最も正確な情報を発信している「レスリング・オブザーバー」のデイブ・メルツァーは、筆者に次のように感想を語ってくれた。
「QUINTET3は、グラップリングの輝かしい未来を感じさせてくれるイベントだった。エキサイティングな試合をたくさん見ることができたからね。必要なのは、プロモーションだけじゃないかな」
QUINTETの本質は「お客さんを喜ばせること」(桜庭和志)にある。
守りに入るな、常に攻撃し続けろ、最後の最後まで一本を狙え。振り返れば、それは桜庭和志がMMAの戦いの中で続けてきたことでもあった。
リアルファイトである以上は、勝利しなくてはならない。さらにプロフェッショナルである以上は、面白い試合を観客に見せなくてはならない。
ファイターが生活できているのは、チケット代金を支払ってくれるお客さんがいるからだ。
QUINTETのルールには、プロレスラー桜庭の生き方が、色濃く盛り込まれている。
かつて桜庭和志は、MMAという日本人にとって未知の競技を、一般大衆に広めるために大きな役割を担った。
そしていま、グラップリングという日本人にとって馴染みのない競技の持つ本質的な魅力を、人々に伝えようとしている。