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ラスベガスの「QUINTET3」で
桜庭和志が伝えたかったこと。 

text by

柳澤健

柳澤健Takeshi Yanagisawa

PROFILE

photograph byTakashi Iga

posted2018/10/09 18:00

ラスベガスの「QUINTET3」で桜庭和志が伝えたかったこと。<Number Web> photograph by Takashi Iga

日本以外では初の開催となったラスベガス大会。優勝したのはユライア・フェイバー率いる「チーム・アルファメール」だった。

大会の主役はゴードン・ライアン!

 総合格闘技黎明期のレジェンド・桜庭和志率いるチーム・サクラバは、UFCのレジェンドであるユライア・フェイバー率いるチーム・アルファメールに完敗する。

 だが、チーム・ポラリス対10thPlanetの試合は、高度な技術の応酬が続き、全試合一本勝ち、抜きつ抜かれつのシーソーマッチという最高にスリリングな展開の果てに、チーム・ポラリスが辛うじて決勝に駒を進めた。

 オーリンズ・アリーナにやってきた観客は、グラップリングという競技の魅力を存分に味わったに違いない。

 だが、大会の主役はチーム・アルファメールのゴードン・ライアンだった。

6戦4勝2分けという圧倒的な戦績。

 ライアンは、昨年のADCC・88kg級を制し、今年はパン・ノーギで無差別と階級別の2冠、EBIでも4度トーナメントを制した当代随一のグラップラーだ。

 チーム・サクラバとの準決勝で、ジョシュ・バーネット、マルコス・ソウザを破り、ホベルト・サトシ・ソウザとは無難に引き分けて決勝進出の立役者となると、決勝戦でもクレイグ・ジョーンズ、ヴィトー・シャオリン・ヒベイロに連勝、グレゴー・グレイシーにも引き分けてチームを優勝に導いた。

 6戦して4勝、そしてふたつの価値あるドローを記録したことになる。

 ゴードン・ライアン以外のチーム・アルファメールのメンバーは、引き分けばかりで、ひとりも抜いていない。

 数々の強豪を育てた名伯楽ジョン・ダナハーの最高傑作の八面六臂の大活躍によって、優勝できたようなものだった。

 団体勝ち抜き戦の面白さ、そして圧倒的な力量を持つファイターの快進撃。

 QUINTET3の視聴数は「UFCファイトパス」で過去最高の数字を叩き出した。

【次ページ】 QUINTETの本質は桜庭そのもの。

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