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ドイツで臥薪嘗胆、21歳の伊藤達哉。
小柄なドリブラーが才能に目覚める時。 

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本田千尋

本田千尋Chihiro Honda

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photograph byTF-Images/Getty Images

posted2018/10/09 07:00

ドイツで臥薪嘗胆、21歳の伊藤達哉。小柄なドリブラーが才能に目覚める時。<Number Web> photograph by TF-Images/Getty Images

長身でガッシリした選手が多いブンデスリーガで、そのテクニックを生かして活躍を続けている伊藤達哉。

リベリーやロッベンが理想だが……。

 伊藤のロールモデルは、フランク・リベリーやアリエン・ロッベンといった稀代のドリブラーたち。

「リベリーとかはやっぱり、逆に抜き切らないでも、アシストとか得点でチームを救う、結果を出すので。ロッベンもそうですけど。そういう選手は、今自分が一番、憧れているというか、ならないといけない理想像です」

 バイエルンの両翼“ロベリー”は、1対1で相手を抜き去った後はもちろんのこと、たとえ抜き切らなくとも、強引にでもアシストやゴールに繋げることができる。

 そういう意味では……伊藤の軽やかなプレースタイルは、ブンデスリーガの歴史を辿ると、どちらかというとアラン・シモンセンに近いかもしれない。

 アラン・シモンセンとは、70年代にボルシアMGで活躍した、元デンマーク代表選手だった165cmのアタッカー。伊藤の肩書きは、ドリブラーというよりは、“軽業師”と形容した方がしっくりくるのだ。

 いずれにせよ、現在進行形のロベリーも神話の中のデンマーク代表も、「試合を決める」力を持っている。フュルト戦に限らず、相手を抜いた後で「試合を決めるかどうかだけ」が、今、伊藤の行方を左右しているのだ。

途中出場の課題を克服しないといけない。

 また伊藤は、途中出場にまだ不慣れなところがあるように見える。

「僕は先発で出るほうが好きですね。試合に最初から入れる感じがして。途中からだと、やっぱりもう試合がある程度進んでいる。自分のキャリアの中でも途中から出て、という経験がそんなになくて。

 でも監督とかにはよく求められる、『試合を決めてこい』という感じで。で、どういう気持ちというかどういう準備で出るのか正直見つかっていなくて。『あの時は良かったな』とか、『なんで今日は良くなかったのか』とか、という感じなんで。それは早く自分の中で見つけて万全で入れるようにしたいですね」

 監督からすれば、敵のチームが疲れ始めたタイミングで伊藤を投入し、どんどん仕掛けてもらった方が効果的だと考えるのだろう。だが、当の本人は、「試合がある程度進んでいる」中に送り出されることに慣れていない。どういうスタンスで現在進行中のゲームに入っていくのか、まだまだ手探りの段階にあるのだ。

【次ページ】 「僕のシーズン、やっと始まったな! と」

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