スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
短期決戦とブルペンの勝負。
ポストシーズン展望、前田健太は?
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2018/09/29 08:00
試合終盤でのリリーフを任される前田健太。昨シーズンに続く快投乱麻となるか。
投手陣の不安、大黒柱の故障。
ところが、話はそう簡単ではない。J・D・マルティネス、ムーキー・ベッツ、ザンダー・ボガーツらの居並ぶ打線の破壊力こそ凄いものの、レッドソックスは投手陣に不安がある。
先発投手全体の成績を見ると、67勝37敗、防御率3.76(大リーグ8位)で、救援投手全体の成績が39勝14敗、防御率3.54で大リーグ5位。上等じゃないか、と思われるかもしれないが、アストロズは先発の防御率が3.19で、救援の防御率が3.05だ。アスレティックス、カブス、ヤンキースなど、ポストシーズンに出てくるチームの救援防御率は、いずれもレッドソックスよりすぐれている。
もうひとつの不安は、大黒柱クリス・セールの故障が長引いていることだ。左肩の痛みで戦線を離脱したセールは、7月28日から9月21日までの間にわずか4試合、投球回数でいうと12回3分の1しか投げていない。
コーラ監督は適度な休養を与える。
今季通算で153回3分の1を投げて12勝4敗、防御率2.00という成績は立派だし、奪三振229という数字も驚異的だが、これらはすべて7月以前の好投の集積だ。
ただ、監督のアレックス・コーラは、アストロズのベンチコーチ時代(2017)の9月に、主戦投手のダラス・カイケルやジャスティン・ヴァーランダーに適度な休養を与え、10月の好投を導いた実績がある。その方式が、セールにも当てはまるかどうか。
もしセールの剛腕が復活すれば、大穴アスレティックスや総合力抜群のアストロズも、苦戦は必至だろう。復調できないようなら、アストロズ対インディアンスの勝者が浮上する。
一方のナ・リーグは、ぐずぐずした混戦が尾を引いている。もとをただせば、本命ナショナルズの崩壊が原因だが、こうなるとやはりしぶといのは、カブスとドジャースの両チームだ。なかでも注目は、クレイトン・カーショーが復活したドジャースではないか。5月と6月をほとんど棒に振ったカーショーだが、7月から9月にかけての成績は、8勝1敗、防御率2.36。本来の姿に戻りつつある。