【NSBC補講IV】皆川賢太郎のスキー革命論BACK NUMBER
高梨沙羅、平野歩夢とSNOW JAPAN。
スキー&スノボを認知させるために。
text by
皆川賢太郎Kentaro Minagawa
photograph by2018 HEIDI Co. , Ltd.
posted2018/09/30 11:00
今年5月に開催された「SAJ SNOW AWARD2018」。ノルディックコンバインドの渡部暁斗が最優秀選手に輝いた。
通年、1日毎など様々な雇用形態。
この1年はドラスティックに何かを変える必要はないと考え、ガバナンス的なものや人事評価サラリーや競技本部の支出と収入のバランスを俯瞰し観察していました。平昌五輪が終わった4月からは、組織形態からの抜本的な見直しをしてきました。
では実際にどんな変革を行ってきたのか。
私たちの競技は冬のみ稼働する“季節商売”ともいえます。その中で働く方々の形態は通年や1日毎と様々な形態があるのです。“選手ファースト”で環境を良くしようとしても、まずスタッフの雇用が安定しなければ、選手への影響は必至です。
まず足元の整備が必要だと考え、サラリーキャップを見直しました。各ポジションに就く方の役割を見極めることも、私の重要な役割の1つでした。平昌五輪以前からミーティングやヒヤリングを重ねてきたこともあり、大きなハレーションは発生していませんが、もちろん、現状まったく反発がないわけではないと思います。ただ、物事を正常化することが最も重要だと考えていて、多少(の反発)は致し方ないと考えていました。
また、現場に関しても、強化費が足りないと言っているのに、各競技が感覚で実行することで無駄な経費がかかり、選手に強化費を回せずに、選手たちに良い環境を提供できなかった。現場を把握しない人たちが意思決定する事も少なくなかったと思います。現場の意見と世界情勢に対応できる組織構図ではありませんでした。
スキー・スノボ人口は800万人だが。
現在、日本には800万人程度のスキー・スノーボード人口がいると言われていますが、そのうちスキー連盟に加入している会員数は100分の1の8万人、収入は11億円程度(2017年度)に留まっています。国内の人口減少も影響しているとはいえ、他の競技団体と比べると数字上の話では決して胸を張れるものではありません。
それでも、ギリギリながらも困っていなかったがゆえに、これまでは具体的に数字を伸ばす策を講じたり、危機感を抱いていませんでした。今後2030年までに海外の方も含め、会員数100万人、収入100億円を目指す「SAJ 100プロジェクト」を掲げています。
以前は地方巡業を行うと、「SAJって本当にダメだよね」という声をよく聞き、何か不具合があると「SAJがちゃんとしないからだ」という会話がよく聞こえてきました。