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矢野貴章が監督交代の日に訴えた事。
ようやく上向いた新潟と自責の念。 

text by

大中祐二

大中祐二Yuji Onaka

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posted2018/09/22 17:00

矢野貴章が監督交代の日に訴えた事。ようやく上向いた新潟と自責の念。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

矢野貴章は決して口数が多いタイプではない。その彼が問いかけたからこそ、他の選手たちにも熱が届いたのだろう。

「じゃあ何で今までやらなかったのか」

「あの日のトレーニングは、明らかにそれまでと雰囲気が違っていました。監督が代わって選手もこのままでは駄目だと思ったのか、それまで試合に絡んでいなかった選手がチャンスと思ったのか。みんながどういう気持ちだったのか分からないけれど、じゃあ何で今までやらなかったのかと思う。

 成績が悪いと監督を代えるという流れが新潟では続いているけれど、何もかも監督に押し付けるのが当たり前であるはずがない。いろいろな状況の中で、選手はやれることをやらないと。やって、今のこの状況なら、ある意味納得もできる。でも、監督が代わるとなった途端にあの雰囲気、テンション、集中力なんだから、そうじゃなかったということ。

 マサさん(鈴木監督)は僕らに期待していたと思う。でも、僕らはなかなか表現できなかった。表現できなくて、困ったら“監督が悪い、サッカーが悪い”と逃げてしまった」

 緊急避難の監督解任は、一時的な真空状態を生んだ。チームは方向性を見失いかけたかに思われた。

 だが、8月22日に片渕浩一郎監督の就任が正式に発表された。さらに9月4日には木村康彦強化部長の退任と、2004年から昨年まで強化部長を務めた神田勝夫氏の強化部長再就任、昨年、現職に復帰した中野社長の今期限りの退任、アルビレックス新潟シンガポールの是永大輔社長の専務取締役就任が発表された。

 9月1日の愛媛FC戦に引き分けたチームは、1週間後の第32節、FC岐阜に5-0と大勝し、実に8試合ぶりの勝利を挙げた。そして先週、続く第33節ツエーゲン金沢戦では、試合終了間際に新潟U-18所属で2種登録の本間至恩の劇的なゴールによって、今季2度目の連勝。ようやく上向く兆しを見せつつある。

 しかし、あの夏の午後、炎天下のピッチで矢野によって皆に訴えられた自責は、いまだ止んでいないように思われる。遠雷のように、まだ去ってはいない。

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