“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
森山佳郎監督がU-16アジア制覇宣言!
ユース世代の名伯楽が語る育成論。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/09/20 07:00
熱い言葉で選手たちから本質的な「やる気」を引き出す森山佳郎監督。
「サッカー小僧」じゃないとダメ。
「中島翔哉や堂安律はサッカー小僧の最たる者だと思う。とにかくサッカーが大好きで、ボールをいつまでも追いかけるような奴だった。そんな奴らが日本代表の選手としているわけですから……そういう選手は信用できるし、自分から這い上がりたい、伸し上がりたいと思う奴は言わなくてもやる。他人から言われてやっているようじゃハナから話にならないんです」
森山監督は堂安を、U-16日本代表でコーチをしていた2014年に指導している。この時のU-16日本代表はバンコクで開催されたAFC U-16選手権に出場し、堂安はエース格とされつつも、サイドバックとしてプレーしていた。
チームは準々決勝でロシアW杯に出場したFWイ・スンウ率いるU-16韓国代表に敗れ、U-17W杯の出場権を逃している。
「当時の堂安はサイドバックというポジションで悶々としていた。『俺は前で勝負したいんだ!』という気持ちを強く持っていて、僕のところにも『なんで前でできないんですか?』と聞いてきた。でも、それは単なるわがままではなく、強烈な向上心の現れで、サイドバックでのプレーでも全力を尽くしていたからね。15歳くらいからコーチ陣に食らいついて、『俺、もっとうまくなりたいんです』と訴え掛けられる意思と意欲は、物凄く強かった印象がある」
堂安のように向上心を闘争心に変えて、時にはわがままともとれるほどの自己主張をしながらも、サッカー小僧である芯を崩さずにプレーして欲しい――森山のこの思いは徐々にチームに伝わりつつある。
森山監督は選手の心を掴んだ!
「ゴリさん(森山監督の愛称)には代表活動の1年間の中で、徹底して闘う気持ちやフィジカルの大切さを強調されました。強烈に『このままじゃ足りない』と思うようになりましたから。
それにゴリさんはただ『フィジカルを強くしろ』、『闘え』と言うだけじゃなく、身体の使い方や技術の応用方法など細かいところも指摘してくれるし、状況に応じて本当にこっちが刺激になる声を掛けてくれる。闘争心を湧き起こしてくれると言うか、気持ちを前向きにさせてくれて、僕自身も視野が広がったと思います」
2002年生まれであることから「'02ジャパン」と称される、今回のU-16日本代表。そのエースストライカーである西川潤(桐光学園高)が語るように、森山監督の人心把握術と指導アプローチは選手の心を確実に動かしている。