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森山佳郎監督がU-16アジア制覇宣言!
ユース世代の名伯楽が語る育成論。
posted2018/09/20 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
来年のU-17W杯出場権を懸けたAFC U-16選手権がマレーシアで9月20日から開幕する。
U-16日本代表を率いるのは、前々回大会からコーチとして参加し、前回から2大会連続で指揮を執ることになった森山佳郎監督だ。
森山監督と言えば、サンフレッチェ広島ユースを長期にわたって率い、数々のタイトルと多くの実力あるJリーガーを世に送り出した“ユース界の名将”だ。卓越したコミュニケーション能力と闘争本能をかき立てる力に長ける“闘将”でもある。
森山監督がチームに求めることは「闘う」こと。
個人技術やチーム戦術の徹底はもちろんだが、すべてにおいて「闘える」というベースがなければ成り立たない。
「やっぱり『画竜点睛を欠く』じゃダメなんですよ」
本番前の国内最終合宿となった茨城合宿の最終日に、森山監督はこの言葉を口にした。
画竜点睛を欠く。この言葉の意は、一見良くできているように見えていても、肝心なところが欠けているために完全とは言えないことを指す。
サッカーに置き換えると……自分のプレーが高いレベルで完成していると勘違いし、1つの小さなエラーやちょっとしたアクシデントで一気に試合でダメになってしまう選手を指す。
堂安が仕掛ける姿に刺激され。
森山監督は「(指導していて)メンタル、メンタルと言うと古典的だとか、いろんなことを言われるかもしれませんが」と前置きした後に、こう続けた。
「だいたい『サッカー小僧』しか将来的に伸びていかないんですよ。例えば『A代表ですらミスを恐れずにチャレンジしているのに、お前らがやらなくてどうすんの?』ということです。
コスタリカ戦の時、この試合を観ること自体がミーティングだと言って、選手全員で見ました。彼らと年齢が近くて若い選手が多い中、果敢に自分の良さを出しつつ、チームのコンビネーションや仕掛けのバランスをきちんと把握していた。そこは我々が見習うべきところなんです」
U-16代表の合宿中だった9月11日。大阪の吹田スタジアムで行われた日本vs.コスタリカでは中島翔哉、南野拓実、堂安律、室屋成ら20代前半の選手が多くプレーしていた。特に堂安は年齢も近いこともあり、全く臆せず積極的に前に仕掛ける姿は、選手たちにとって大きな刺激になったようだ。