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小野伸二と稲本潤一が語る黄金世代。
「同級生の一番に」「すげえな、と」 

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涌井健策(Number編集部)

涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui

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photograph byAtsushi Kondo

posted2018/09/15 10:00

小野伸二と稲本潤一が語る黄金世代。「同級生の一番に」「すげえな、と」<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

コンサドーレ札幌でプレーする2人。海外クラブを渡り歩いてきた2人が、北の大地でチームメイトになって4シーズン目になる。

なぜあんなにうまい選手が揃ったのか。

 同級生へ熱い思いを抱く小野に、近藤さんが素朴な問いを投げかけた。

――あの年ってなんであんなにうまい子がいっぱいいるの? サッカーのうまい選手が多いよね、身体能力が優れているとかじゃなくて。

「何なんですかね。分からないな、そう聞かれても何とも言いようがない。ただ、僕の世代と僕の1個上の世代って、海外への遠征や合宿にどの世代よりも行かせてもらったと思うんです。そこでそれぞれが何かを学んだんじゃないですか。

 今の若い選手たちは、僕らの世代よりも1人1人の技術はすごい上がってると思います。うまい。ただ、サッカーを「考える」ということに関しては何とも言えません。'79年の選手たちは技術もそうですが、みんな、考える力も相当高いレベルだった。

 お互いをどう生かすか、どうやったらゴールを取れるか。そういうことを僕らはパッと瞬間的に共有できていました。それが強みだったし、海外のクラブでもそれは役に立ったと思います。今の若い選手たちは技術に重点を置きすぎているのかもしれませんね」

稲本「海外、むしろなんで行かへんの?」

 稲本は、自分自身の経験を踏まえ、若手にもどんどん海外挑戦をしてほしいという。

「自分は海外での9年間で、サッカー選手としてはもちろん成長できたし、それ以外の部分でも色々と学べましたよね。イギリス、トルコ、ドイツ、フランスと4カ国に行ったのかな。文化、宗教、知らなかったことを理解したし、人との出会いもたくさんあった。単純ですけど、やっぱ世界は広いなって思いますよ。

 今の若い人ですか? そりゃ、行くべきでしょう、海外。むしろなんで行かへんの? って感じかな。ベルギーでも、スウェーデンでも、向こうに行ったら自分を見てくれてるスカウトの目の数が全然違って、いいやつは間違いなく上に上がって行きます。

 今は昔と違ってA代表を経験する前に、下手したら高校生でも海外に出ていけるわけですよね。それなら、もしタイミングが合えば、日本の外に出て行って欲しい、と僕は思います」

 サッカーにおける考える力とは何か、それはどう身につくのか――。この20年、日本のサッカー界を牽引してきた2人の言葉は、海外に挑戦している選手を見る上でも、新生・日本代表を見ていく上でも示唆に溢れていた。

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稲本潤一
小野伸二
北海道コンサドーレ札幌

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