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小野伸二と稲本潤一が語る黄金世代。
「同級生の一番に」「すげえな、と」
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph byAtsushi Kondo
posted2018/09/15 10:00
コンサドーレ札幌でプレーする2人。海外クラブを渡り歩いてきた2人が、北の大地でチームメイトになって4シーズン目になる。
黄金世代の仲間たちへの意識は?
そして興味深かったのが、2人の「同世代」への意識がまったく違うということだ。
言うまでもなく、小野と稲本は「79年組」や「黄金世代」と言われ、U-20ワールドカップで準優勝を果たした1979年生まれの世代だ。
他の同級生には、高原直泰、遠藤保仁、小笠原満男、本山雅志、中田浩二、曽ケ端準、播戸竜二らがおり、中田英寿の3つ下、中村俊輔の1つ下になる。
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小野は、強烈に同級生を意識していた。同じMFで代表ではポジションを争った中田や中村にはライバル心を感じず、同級生こそがライバルだという。
小野「同級生の中での『一番』は譲れない」
インタビュアーの近藤さんが、中田英寿がペルージャに移籍した直後、ユベントス戦で2ゴールを決めたのをテレビで観戦していたという小野に「あれを見て、嫉妬とか、悔しいとか、そういう感情になったりしないの?」と聞いたとき、こんな答えが返ってきた。
「別にライバルだとか、そういう気持ちでもないから。やっぱりヒデさんはヒデさんだし。ライバルって思えるのは自分の同級生だけで、上や下の世代の人たちに対して、そういう気持ちはなかったです。もちろん比較はされましたし、それを耳にしたりもしたけど、別に自分の中で何も……。
やっぱりライバルは自分の中で同期なんです。タカ、イナ、ミツオにヤット、中田浩二もそう。タカは小学校から知ってて一緒だったから、特にライバル意識ありましたね。ほんと僕らの世代すごかったから(笑)、その誰かと比較されて負けたと思われるのは嫌でした。同級生の中での『一番』は譲れない、これは今でもそうなんです」
対する稲本は、冷静だ。
「同級生がライバル? うーん、まぁまぁありますけど、シンジほど絶対的な強い思いはないですね。もちろん同い年のやつが頑張っていると刺激にはなりますけどね。だからシンジがフェイエノールトでUEFAカップを優勝したのを知ったときも、すげえな、と思ったくらいで、悔しいとかそういうのはなかったんです。
それよりもクラブや代表で自分と同じポジションで、おれの代わりに試合に出てる選手に勝ちたい、そいつに勝ってどうやって試合に出るか、という意識のほうが強かったですね。それは今も同じなんです」